1 00:00:05,093 --> 00:00:07,678 400年以上の間、暗号に残る「指紋」は残されたままでした。 2 00:00:07,678 --> 00:00:11,770 どのようにして、アリスは「指紋」を隠す暗号を 考え出したのでしょう。 3 00:00:11,770 --> 00:00:14,497 情報の流出は、このように防がれたのです。 4 00:00:14,497 --> 00:00:18,135 答えは、ランダム性にありました。 5 00:00:18,135 --> 00:00:21,210 アリスが、ランダムな表を作るために 6 00:00:21,210 --> 00:00:23,525 26面のサイコロをふると考えてください。 7 00:00:23,525 --> 00:00:27,042 そして、この表をボブに渡しておきます。 8 00:00:27,042 --> 00:00:28,893 彼女がメッセージを暗号化するときには 9 00:00:28,893 --> 00:00:31,987 この表を使って、文字を一つずつ置き換えていきます。 10 00:00:31,987 --> 00:00:35,890 同じパターンの繰り返しを避けるために、このリストを 11 00:00:35,890 --> 00:00:38,628 なるべく長くすることが重要です。 12 00:00:38,628 --> 00:00:41,093 さて、アリスはメッセージを表を使って暗号化して、 13 00:00:41,093 --> 00:00:45,148 同じ表を使って解読するボブに送ります。 14 00:00:47,025 --> 00:00:48,574 ここで、暗号を盗聴しようとするイヴは、問題に直面します。 15 00:00:48,574 --> 00:00:50,875 なぜなら、暗号化されたメッセージは 16 00:00:50,875 --> 00:00:53,509 盗聴に対して2つの強さを、持っているからです。 17 00:00:53,509 --> 00:00:57,175 一つ目に、文字変換は決して同じ規則を持たないということ。 18 00:00:59,083 --> 00:01:03,874 2つ目に、暗号化されたメッセージは、 文字の出現率が均一になるということです。 19 00:01:03,874 --> 00:01:06,208 ランダムに選ばれるので、頻度の差が生まれないからです。 20 00:01:06,208 --> 00:01:08,172 こうして、情報の流出がなくなることで 21 00:01:08,172 --> 00:01:11,206 イヴは暗号を解読することが、できなくなります。 22 00:01:14,052 --> 00:01:17,668 これは19世紀の終わり頃に現れ始めた、 23 00:01:17,668 --> 00:01:21,586 暗号化の最も強力な方法です。 24 00:01:21,586 --> 00:01:24,198 今では「ワンタイムパッド」と呼ばれているものです。 25 00:01:25,767 --> 00:01:29,229 ワンタイムパッドの強力さを理解するためには 26 00:01:29,229 --> 00:01:34,784 組み合わせ爆発を理解しなければなりません。 27 00:01:34,784 --> 00:01:38,917 例えば、シーザー暗号はすべての文字を 28 00:01:38,917 --> 00:01:42,960 1から26の同じ規則でずらしました。 29 00:01:42,960 --> 00:01:45,008 つまり、もしアリスが自分の名前(Alice)を暗号化するならば 30 00:01:45,008 --> 00:01:48,384 26通りの暗号化を、作りうるわけです。 31 00:01:48,384 --> 00:01:52,251 これは少ないので、簡単に全てを調べられます。 32 00:01:52,251 --> 00:01:54,834 いわゆる総当り攻撃です。 33 00:01:54,834 --> 00:01:56,844 この場合と比べ、ワンタイムパッドの場合、 34 00:01:56,844 --> 00:01:58,990 文章中のすべての文字が 35 00:01:58,990 --> 00:02:01,808 それぞれ26通りで変換されうるのです。 36 00:02:01,808 --> 00:02:03,934 作られうる暗号の数を考えてみましょう。 37 00:02:03,934 --> 00:02:07,908 これは、26を5乗することになります。 38 00:02:07,908 --> 00:02:09,920 その結果は、ほぼ千二百万通り。 39 00:02:09,920 --> 00:02:12,884 多すぎてよくわかりませんね。 40 00:02:12,884 --> 00:02:15,949 では、暗号化された名前を、一枚の紙に書いて 41 00:02:15,949 --> 00:02:20,854 どんどん重ねていくとしましょう。 42 00:02:20,854 --> 00:02:24,505 どのくらいの高さになると思いますか? 43 00:02:24,736 --> 00:02:28,869 5文字が書かれた千二百万枚の、 44 00:02:28,869 --> 00:02:32,032 とても巨大な紙の山の高さは 45 00:02:32,032 --> 00:02:35,241 1キロメートルを超えます。 46 00:02:35,241 --> 00:02:38,103 ワンタイムパッドを使って、 アリスが自分の名前を暗号化するのは、 47 00:02:38,103 --> 00:02:42,375 この紙の山の中から、無作為に1枚引くのと同じ事です。 48 00:02:42,375 --> 00:02:44,663 盗聴しようとするイヴの立場からすれば 49 00:02:44,663 --> 00:02:47,397 個別に暗号化された5文字は 50 00:02:47,397 --> 00:02:51,578 この紙の山の中のどの1枚とも、等しいのです。 51 00:02:51,578 --> 00:02:54,645 これが実際に使われている完璧な秘密化の方法です。