WEBVTT

00:00:06.903 --> 00:00:10.103
時制とは はっきりいつとは言わずに

00:00:10.103 --> 00:00:12.644
動詞の形を変えることで

00:00:12.664 --> 00:00:16.874
その行為がいつ行われたのかを
表現する手段のことです

00:00:16.874 --> 00:00:20.364
たとえば英語には
何種類の時制があるのでしょうか？

00:00:20.364 --> 00:00:22.495
そんなの簡単？

00:00:22.495 --> 00:00:23.584
過去形

00:00:23.584 --> 00:00:24.465
現在形

00:00:24.465 --> 00:00:25.805
未来形 ですね

00:00:25.805 --> 00:00:28.455
しかし 文法で言う
「相」という考え方により

00:00:28.455 --> 00:00:32.034
実はもっと細かく
分けられているのです

00:00:32.034 --> 00:00:34.024
相には４種類あります

00:00:34.024 --> 00:00:36.625
「継続相」または「進行相」は

00:00:36.625 --> 00:00:39.885
話の中では
動作がまだ続いていることを表します

00:00:39.885 --> 00:00:43.795
「完了相」は
動作が終わったことを表します

00:00:43.795 --> 00:00:46.437
「完了進行相」は
相が混じったもので

00:00:46.437 --> 00:00:49.967
継続している動作のうち
完了した部分を示します

00:00:49.967 --> 00:00:52.446
「単純相」もお忘れなく

00:00:52.446 --> 00:00:55.945
過去形、現在形、未来形の基本形で

00:00:55.945 --> 00:00:59.816
動作が継続しているのか
単発なのかには触れません

00:00:59.816 --> 00:01:03.616
ちょっと難しいですね
では実際の例を見ていきましょう

00:01:03.616 --> 00:01:06.827
友人がこう言ったとします
「海軍の極秘ミッションで

00:01:06.827 --> 00:01:09.567
謎の海洋生物の探査に
行ってきたよ（went）」

00:01:09.567 --> 00:01:12.377
時制から おおまかに
過去の話だとわかりますが

00:01:12.377 --> 00:01:14.776
同じ過去でも
いくつものパターンが考えられます

00:01:14.776 --> 00:01:17.708
「その謎の生物が船を襲った
（attacked）」と言えば

00:01:17.708 --> 00:01:20.377
最も一般的な相である
「単純過去相」となり

00:01:20.377 --> 00:01:23.367
時間について
それ以上の説明はありません

00:01:23.367 --> 00:01:26.347
「そのとき僕らは寝ていた
（were sleeping）」なら

00:01:26.347 --> 00:01:28.879
その時点で進行中だった
動作を表しています

00:01:28.879 --> 00:01:32.387
「ナンタケットから出発していた
（had departed）」と言えば

00:01:32.387 --> 00:01:35.108
もっと前に完了された行為を示します

00:01:35.108 --> 00:01:37.758
「過去完了相」と呼ばれるものです

00:01:37.758 --> 00:01:41.508
「それまで３週間航海していた
（had been sailing）」と言えば

00:01:41.508 --> 00:01:44.389
その時点まで継続されていた行為を示します

00:01:44.389 --> 00:01:48.468
「今もその生物について調査している
（still search）」と今ここで言えば

00:01:48.478 --> 00:01:50.630
「単純現在相」になるわけです

00:01:50.660 --> 00:01:55.708
こうしている間にも「次のミッションの
準備中（are preparing）」だったり

00:01:55.708 --> 00:02:00.158
「そのために新型の潜水艦を作った
（have built）」は達成済み

00:02:00.158 --> 00:02:04.803
さらに 「目撃談をずっと集めている
（have been researching）」なら

00:02:04.803 --> 00:02:08.267
しばらく続けてきた行為を
今も続けていることを示します

00:02:08.267 --> 00:02:10.449
これは「現在完了進行相」です

00:02:11.209 --> 00:02:13.602
次はどんなミッションなのでしょう？

00:02:13.722 --> 00:02:17.938
「出発は来週の予定（will depart）」
ならば何も起こっていません

00:02:17.938 --> 00:02:19.406
これが「単純未来相」です

00:02:19.406 --> 00:02:23.320
「謎の生物の調査を今後も続けていく
（will be searching）」なら

00:02:23.320 --> 00:02:25.669
長期継続する取り組みを示しています

00:02:25.669 --> 00:02:30.517
「潜水艦は１か月後には前人未踏の深さに
到達しているだろう（will have reached）」

00:02:30.517 --> 00:02:31.989
これは確信のある予想

00:02:31.989 --> 00:02:35.489
つまり 未来のある時点で達成されることを
予測しています

00:02:35.489 --> 00:02:39.869
「それは３週間航海を続けた頃だろう
（will have been voyaging）」は

00:02:39.869 --> 00:02:41.409
「未来完了進行相」です

00:02:41.409 --> 00:02:44.109
このように多様な時制に
共通して言えるのは

00:02:44.109 --> 00:02:47.631
過去 現在 未来にかかわらず
どの行為も特定のある瞬間に

00:02:47.631 --> 00:02:50.130
行われているということです

00:02:50.600 --> 00:02:54.159
相は その行為が
どんな状態にあるかを

00:02:54.159 --> 00:02:56.369
表す役目を持っているのです

00:02:56.369 --> 00:02:59.779
英語には全部で12種類あります

00:02:59.779 --> 00:03:01.830
他の言語ではどうでしょう？

00:03:01.830 --> 00:03:03.219
たとえばフランス語や

00:03:03.219 --> 00:03:04.080
スワヒリ語

00:03:04.080 --> 00:03:07.069
ロシア語の考え方は
英語とよく似ています

00:03:07.069 --> 00:03:09.811
他の言語では
時間の表し方や区切り方が異なります

00:03:09.811 --> 00:03:12.979
たとえば 日本語の
時制の種類は少なく

00:03:12.979 --> 00:03:16.560
過去か 過去ではないかしか
区別しません

00:03:16.560 --> 00:03:18.482
ブリ語やトゥカンバシ語という

00:03:18.482 --> 00:03:21.762
インドネシアの言語では
未来か未来ではないかのみ

00:03:21.762 --> 00:03:26.192
中国語には 時制による動詞の変化はなく
相があるのみです

00:03:26.192 --> 00:03:31.702
一方で ヤグワ語というチャド近辺の言語では
過去形がさらに細かく分かれます

00:03:31.702 --> 00:03:35.532
数時間前か 数週間前か 数年前かで
時制が変わってくるのです

00:03:35.532 --> 00:03:39.682
その他の言語では 動詞の変化に
その行為の緊急性

00:03:39.682 --> 00:03:40.796
必要性や

00:03:40.796 --> 00:03:42.902
確実性が関わってきます

00:03:42.902 --> 00:03:45.966
これでは翻訳が難しいですが
不可能ではありません

00:03:45.966 --> 00:03:49.570
ぴったりとくる時制を持たない言語でも

00:03:49.570 --> 00:03:53.767
wouldやdidのような助動詞を使ったり
いつ行為が起きたかを具体的に言ったりすれば

00:03:53.767 --> 00:03:55.876
同じ内容を表現できるからです

00:03:55.876 --> 00:03:58.175
さまざまな言語間の時制の違いは

00:03:58.175 --> 00:04:01.992
ひとつの事実を違った言い方で
表現しているだけなのでしょうか？

00:04:01.992 --> 00:04:06.616
それとも それぞれの多様な仕組みに
価値観や 時間に対する独自の考え方が

00:04:06.616 --> 00:04:08.337
反映されているのでしょうか？

00:04:08.337 --> 00:04:12.086
だとしたら 世界には他にどのような
時間の捉え方があるのでしょうね