1 00:00:01,000 --> 00:00:03,947 まずは 200年前の話から始めましょう 2 00:00:04,792 --> 00:00:08,155 1820年 フランスの天文学者 アレクシス・ブヴァールは 3 00:00:08,155 --> 00:00:13,309 惑星発見者として名を残す 2人目の人物となるところでした 4 00:00:13,316 --> 00:00:14,799 古い星表を参考にして 5 00:00:14,799 --> 00:00:18,348 夜空に見える天王星の位置を 追跡していましたが 6 00:00:18,348 --> 00:00:20,889 彼の予測とは ちょっと違った振る舞いで 7 00:00:20,889 --> 00:00:23,198 太陽の周りを回っていたのです 8 00:00:23,208 --> 00:00:25,236 時に 動きが少しだけ速すぎたり 9 00:00:25,236 --> 00:00:27,058 遅すぎたりしていました 10 00:00:27,058 --> 00:00:30,785 ブヴァールは 自分の計算は完璧だと思っていました 11 00:00:30,785 --> 00:00:34,022 だから 古い星表が 間違っているに違いないと思い 12 00:00:34,022 --> 00:00:36,247 当時の天文学者に言いました 13 00:00:36,247 --> 00:00:38,254 「もっと正確な観測を行ってくれ」 14 00:00:38,509 --> 00:00:40,162 すると 再測定が行われました 15 00:00:40,162 --> 00:00:42,085 天文学者は その後20年をかけて 16 00:00:42,085 --> 00:00:46,068 天王星の位置を 細心の注意を払って追跡しましたが 17 00:00:46,068 --> 00:00:49,830 なおも ブヴァールの予測と 一致しませんでした 18 00:00:49,830 --> 00:00:51,476 1840年までには 19 00:00:51,476 --> 00:00:55,144 問題は 星表にあるのではなく 20 00:00:55,144 --> 00:00:57,886 予測にあることが 明らかになりました 21 00:00:57,886 --> 00:00:59,847 天文学者には 理由が分かっていました 22 00:00:59,847 --> 00:01:03,693 天王星軌道の外に 巨大な惑星があるに違いないと 23 00:01:03,693 --> 00:01:05,386 気づいたのです 24 00:01:05,386 --> 00:01:07,268 それが天王星の軌道に 影響を及ぼし 25 00:01:07,279 --> 00:01:09,819 時には 天王星の速度を少し速め 26 00:01:09,819 --> 00:01:11,687 時には 遅くしているのだと 27 00:01:12,750 --> 00:01:15,334 1840年当時は 苛立たしかったに違いありません 28 00:01:15,334 --> 00:01:18,321 その彼方にある巨大惑星の 重力効果が観察できるのに 29 00:01:18,324 --> 00:01:21,948 実際にその巨大惑星を探し当てる方法が 無かったのですから 30 00:01:21,948 --> 00:01:24,300 本当です 本当に 苛立たしいんです 31 00:01:24,300 --> 00:01:25,583 (笑) 32 00:01:25,583 --> 00:01:27,979 しかし 1846年に 別のフランス人天文学者 33 00:01:27,979 --> 00:01:30,517 ユルバン・ルヴェリエが 計算を行い 34 00:01:30,517 --> 00:01:33,271 この惑星の位置を突き止める方法を 見つけ出すと 35 00:01:33,271 --> 00:01:36,151 予測結果を ベルリン天文台に送りました 36 00:01:36,151 --> 00:01:39,043 天文台が 望遠鏡を稼働させた 最初の晩に 37 00:01:39,043 --> 00:01:41,951 かすかな光を放ち 空をゆっくりと移動する点が 38 00:01:41,951 --> 00:01:42,875 見つかりました 39 00:01:42,875 --> 00:01:44,321 海王星の発見です 40 00:01:44,321 --> 00:01:48,569 ルヴェリエが予測した位置から 本当に近い所にありました 41 00:01:49,875 --> 00:01:53,541 これは 予測、予測との不一致 新たな理論 42 00:01:53,541 --> 00:01:57,440 そして発見という大勝利に至る 非常に典型的なストーリーであり 43 00:01:57,440 --> 00:02:00,393 ルヴェリエが一躍 有名になったので 44 00:02:00,393 --> 00:02:03,127 他の人々も 直ぐに真似しようとしました 45 00:02:03,127 --> 00:02:05,618 過去163年間に 46 00:02:05,618 --> 00:02:11,202 何十人もの天文学者が 軌道が食い違っているとして 47 00:02:11,202 --> 00:02:15,374 太陽系にある未発見の惑星の存在を 予言しました 48 00:02:16,292 --> 00:02:19,160 全て 誤りでした 49 00:02:20,125 --> 00:02:22,079 その中でも 最も有名なのが 50 00:02:22,079 --> 00:02:24,193 パーシヴァル・ローウェルの予言です 51 00:02:24,193 --> 00:02:28,512 彼は 天王星と海王星のすぐ先に これらの軌道に影響を与えている ― 52 00:02:28,512 --> 00:02:30,498 惑星があるはずだと確信しました 53 00:02:30,498 --> 00:02:32,841 そして 1930年に冥王星が 54 00:02:32,841 --> 00:02:35,114 ローウェル天文台によって 発見されると 55 00:02:35,114 --> 00:02:39,227 誰もが これはローウェルが予言した 惑星に違いないと思いました 56 00:02:39,227 --> 00:02:41,223 これは間違いでした 57 00:02:41,673 --> 00:02:45,796 天王星や海王星は あるべきところに あることが 今では判明しています 58 00:02:45,796 --> 00:02:47,551 その理解に100年かかりましたが 59 00:02:47,551 --> 00:02:49,728 ブヴァールは 結局のところ 正しかったのです 60 00:02:49,728 --> 00:02:52,788 天文学者は もっと正確な測定を する必要があったのです 61 00:02:52,788 --> 00:02:54,523 再測定を行い 62 00:02:54,523 --> 00:02:57,028 より正確なデータを用いた結果 63 00:02:57,028 --> 00:03:02,773 天王星や海王星の軌道のすぐ外側には 他の惑星が存在しないということが分かり 64 00:03:02,773 --> 00:03:05,582 冥王星がこれらの惑星の軌道に 影響を及ぼすには 65 00:03:05,582 --> 00:03:08,275 数千倍の質量が 必要だと分かりました 66 00:03:08,275 --> 00:03:10,947 冥王星は 当初予言された惑星とは 67 00:03:10,947 --> 00:03:13,517 異なるものだと判明したものの 68 00:03:13,517 --> 00:03:17,647 惑星群の外側にある 今では何千もあることが知られている 69 00:03:17,647 --> 00:03:21,708 小さな氷でできた天体の 最初の発見になりました 70 00:03:21,708 --> 00:03:23,245 ご覧になっているのは 71 00:03:23,245 --> 00:03:27,194 木星、土星、天王星、海王星の軌道です 72 00:03:27,194 --> 00:03:29,594 中心近くの小さな円の中には 73 00:03:29,594 --> 00:03:33,358 地球と太陽と 皆さんが知り 親しまれている ほとんどすべてがあります 74 00:03:33,358 --> 00:03:35,125 また 縁辺部にある黄色の円は 75 00:03:35,125 --> 00:03:37,958 惑星群の外側にある 氷でできた天体です 76 00:03:37,958 --> 00:03:39,997 氷の天体の軌道は 77 00:03:39,997 --> 00:03:42,085 惑星の重力場により 78 00:03:42,085 --> 00:03:44,867 完全に予測可能な仕方で 影響を受けています 79 00:03:44,867 --> 00:03:50,101 太陽を周回するあらゆる天体は 正確に理論通りに運動しています 80 00:03:50,958 --> 00:03:52,159 ほぼ正確にですが 81 00:03:52,252 --> 00:03:54,239 さて 2003年のこと 82 00:03:54,239 --> 00:03:56,142 私は 太陽系の中で 83 00:03:56,142 --> 00:03:59,871 当時としては最も遠いところにある 天体を発見しました 84 00:03:59,871 --> 00:04:02,273 この孤立した天体を見ると 言いたくなります 85 00:04:02,273 --> 00:04:04,198 ああ ローウェルは 間違ってたんだ 86 00:04:04,198 --> 00:04:06,224 海王星のすぐ先に 惑星はなかったけど 87 00:04:06,224 --> 00:04:08,962 これこそ新惑星かもしれないと 88 00:04:08,962 --> 00:04:10,543 まず解明すべき問題は 89 00:04:10,543 --> 00:04:13,026 太陽の周りをどんな軌道で 回っているのかです 90 00:04:13,026 --> 00:04:16,589 惑星ならばそうあるべき 円軌道なのか? 91 00:04:16,589 --> 00:04:20,342 それとも この帯状に分布する 氷の天体の一員にすぎず 92 00:04:20,342 --> 00:04:23,974 少しだけ外側にはじき出されて 戻ってくるところなのか? 93 00:04:24,334 --> 00:04:26,431 これはまさに 94 00:04:26,431 --> 00:04:31,555 天文学者が200年前に天王星について 解明しようとした問題と同じです 95 00:04:31,555 --> 00:04:34,545 彼らは それまで見過ごされていた ― 96 00:04:34,545 --> 00:04:37,768 天王星発見の91年前の 観測記録を用いて 97 00:04:37,777 --> 00:04:39,542 その全軌道を明らかにしました 98 00:04:39,542 --> 00:04:41,903 我々は そこまで過去に 遡れませんでしたが 99 00:04:41,903 --> 00:04:46,149 この天体に関する13年前の 観測データを見つけたので 100 00:04:46,149 --> 00:04:48,568 太陽周回軌道を 導き出すことができました 101 00:04:48,568 --> 00:04:49,669 問題は 102 00:04:49,996 --> 00:04:52,617 惑星のような円軌道なのか 103 00:04:52,617 --> 00:04:54,555 それとも 氷の天体のような軌道で 104 00:04:54,555 --> 00:04:56,309 戻ってくる途中にあるのか? 105 00:04:56,309 --> 00:04:57,437 その答えは 106 00:04:57,895 --> 00:04:59,268 どちらでもありません 107 00:04:59,292 --> 00:05:02,186 この天体は ひどく細長い軌道を描いており 108 00:05:02,186 --> 00:05:05,695 1万年かけて 太陽の周りを回ります 109 00:05:05,695 --> 00:05:08,145 我々はこの天体を 「セドナ」と命名しました 110 00:05:08,145 --> 00:05:10,520 常に氷の世界にいることに 敬意を表し 111 00:05:10,520 --> 00:05:13,950 イヌイットの海の女神の名前から 取りました 112 00:05:13,950 --> 00:05:15,717 セドナについて分かっているのは 113 00:05:15,717 --> 00:05:17,792 冥王星の3分の1ほどの 大きさで 114 00:05:17,792 --> 00:05:22,423 海王星の先にある氷の天体群の 比較的典型的な一員だということです 115 00:05:22,423 --> 00:05:26,050 比較的というのは 奇妙な軌道を描いている点が例外だからです 116 00:05:26,229 --> 00:05:27,325 この軌道を見たら 117 00:05:27,325 --> 00:05:30,706 「ああ 奇妙だな 公転周期が1万年なんて」 と思うかもしれませんが 118 00:05:30,706 --> 00:05:32,442 奇妙なのは そのことではありません 119 00:05:32,442 --> 00:05:34,695 奇妙なのは その1万年の間に 120 00:05:34,695 --> 00:05:38,843 セドナが 他の太陽系の天体に 接近することがないことです 121 00:05:38,843 --> 00:05:41,183 太陽に最も近づいた時でも 122 00:05:41,183 --> 00:05:43,469 セドナと海王星の間の距離は 123 00:05:43,469 --> 00:05:45,879 海王星と地球の間の距離よりも 離れています 124 00:05:47,042 --> 00:05:49,166 もし セドナが このような軌道を描き 125 00:05:49,166 --> 00:05:51,917 1回公転する間に 海王星の軌道に触れるのであれば 126 00:05:51,917 --> 00:05:54,698 説明は簡単だったことでしょう 127 00:05:54,698 --> 00:05:56,643 元々氷の天体の領域にあって 128 00:05:56,643 --> 00:06:00,370 太陽の周りを円軌道で 回っていた天体が 129 00:06:00,370 --> 00:06:02,503 ある時 海王星に接近しすぎたために 130 00:06:02,503 --> 00:06:06,350 軌道からはじき出され 現在 戻ってくる途上にあるということです 131 00:06:07,333 --> 00:06:11,120 しかし セドナには はじき出したはずの天体が 132 00:06:11,120 --> 00:06:14,553 太陽系において 知られる限りでは存在しません 133 00:06:14,553 --> 00:06:16,459 それは海王星ではあり得ず 134 00:06:16,459 --> 00:06:19,297 何か別の天体があったはずです 135 00:06:19,560 --> 00:06:22,092 影響を及ぼしている天体が 不明な重力効果が 136 00:06:22,092 --> 00:06:26,639 外太陽系(木星以遠)において 観測されたのは 137 00:06:27,546 --> 00:06:29,677 1845年以来 初めてのことでした 138 00:06:30,208 --> 00:06:32,438 私は その答えなら 分かると思いました 139 00:06:33,118 --> 00:06:38,347 外太陽系の遠く離れた場所に 巨大惑星があるという見方もありますが 140 00:06:38,347 --> 00:06:40,616 その頃までには これは 馬鹿げた考えで 141 00:06:40,616 --> 00:06:42,447 全く信憑性がないと されていたため 142 00:06:42,447 --> 00:06:44,537 私自身 真剣に とらえていませんでした 143 00:06:44,537 --> 00:06:45,831 しかし 45億年前 144 00:06:45,831 --> 00:06:50,644 何百という恒星の幼生を宿す 誕生の場から太陽が形成されたとき 145 00:06:50,644 --> 00:06:52,325 その中の1つの恒星が偶然に 146 00:06:52,325 --> 00:06:54,711 セドナにほんの少し 近づきすぎたことで 147 00:06:54,711 --> 00:06:58,525 現在の軌道へと 押しやったのかもしれません 148 00:06:58,525 --> 00:07:02,276 一連の恒星が 銀河系の中へと散らばっていくと 149 00:07:02,520 --> 00:07:05,560 セドナの軌道は 太陽の初期の歴史を 150 00:07:05,560 --> 00:07:08,254 まるで化石のように 記録として残したのでしょう 151 00:07:08,824 --> 00:07:10,644 私は太陽の誕生の歴史を 152 00:07:10,644 --> 00:07:14,304 化石化された記録として考察できる という考えにワクワクし 153 00:07:14,304 --> 00:07:17,293 その後の十年間 セドナのような軌道をもった 154 00:07:17,293 --> 00:07:18,933 天体をさらに探しました 155 00:07:18,933 --> 00:07:22,109 十年かけて見つけた数は 「ゼロ」です 156 00:07:22,109 --> 00:07:23,239 (笑) 157 00:07:23,239 --> 00:07:27,116 でも 同僚のチャド・トルヒーヨと スコット・シェパードはもっと上手くやって 158 00:07:27,116 --> 00:07:30,200 セドナのような軌道をもった天体を いくつか発見しています 159 00:07:30,200 --> 00:07:31,684 本当にワクワクします 160 00:07:31,708 --> 00:07:33,366 しかし さらに興味深いことに 161 00:07:33,366 --> 00:07:36,070 彼らの発見によると これらの天体は全部 162 00:07:36,070 --> 00:07:40,058 他から隔たった細長い軌道を もっているだけではなく 163 00:07:40,058 --> 00:07:45,380 天体運動を表す 知名度の低い 「近日点引数」という軌道要素が 164 00:07:45,380 --> 00:07:49,480 同じような値を示しているのです 165 00:07:50,250 --> 00:07:52,185 近日点引数が 近い値にあると知ると 166 00:07:52,185 --> 00:07:54,192 彼らは すぐさま 非常に興奮して 167 00:07:54,192 --> 00:07:57,404 「遠方にある巨大な惑星の影響に 違いない」と語り合いました 168 00:07:57,404 --> 00:08:00,860 とても興奮する話ですが ただ 筋が全く通らないんです 169 00:08:01,083 --> 00:08:03,601 そのわけを たとえを用いて説明します 170 00:08:03,625 --> 00:08:06,977 ある人が広場を歩いていて 171 00:08:06,977 --> 00:08:10,563 進行方向の45度右に 顔を向けています 172 00:08:11,125 --> 00:08:13,176 そうなる理由は 色々と考えられるので 173 00:08:13,176 --> 00:08:15,010 説明はとても容易です 174 00:08:15,010 --> 00:08:16,944 では 大勢の人がいて 175 00:08:16,944 --> 00:08:20,792 皆 バラバラの方向に向かって 広場を歩いていますが 176 00:08:20,792 --> 00:08:24,207 皆が進行方向の45度右を 向いているとしたらどうでしょう? 177 00:08:24,208 --> 00:08:26,242 皆が違う方向に向かって歩き 178 00:08:26,250 --> 00:08:28,445 違う方向に顔を向けているのに 179 00:08:28,445 --> 00:08:31,726 進行方向に対する顔の向きは 揃って45度なんです 180 00:08:31,726 --> 00:08:34,092 そんなことが どうしたら起きるのでしょう? 181 00:08:34,917 --> 00:08:36,357 私には全く分かりません 182 00:08:36,357 --> 00:08:39,983 そんなことが起こる理由を 考え出すのは簡単じゃありません 183 00:08:39,983 --> 00:08:41,281 (笑) 184 00:08:41,281 --> 00:08:44,336 近日点引数が近い値に なっているというのは 185 00:08:44,336 --> 00:08:47,510 まさに そういうことなのです 186 00:08:47,510 --> 00:08:50,316 たいていの科学者たちは当惑し 単なる偶然か 187 00:08:50,316 --> 00:08:52,653 観測ミスに違いないと考えました 188 00:08:52,653 --> 00:08:54,279 彼らは天文学者に対し 189 00:08:54,279 --> 00:08:56,923 「もっと正確な観測を行ってくれ」 と伝えました 190 00:08:56,923 --> 00:08:59,842 私は観測データを とても注意深く調べましたが 191 00:08:59,842 --> 00:09:01,163 正確なデータでした 192 00:09:01,163 --> 00:09:02,503 これらの天体は 193 00:09:02,503 --> 00:09:05,650 たしかに 同じ近日点引数を もっていたのです 194 00:09:05,650 --> 00:09:07,132 あり得ないことです 195 00:09:07,132 --> 00:09:10,291 何かがこの現象を 引き起こしているに違いありませんでした 196 00:09:11,125 --> 00:09:15,381 パズルの最後のピースが 2016年に見つかりました 197 00:09:15,381 --> 00:09:18,075 3つ離れた部屋で働いている同僚の 198 00:09:18,075 --> 00:09:20,696 コンスタンティン・バティーギンと 私が 199 00:09:20,696 --> 00:09:23,491 皆を困惑させている原因に 気づいたのです 200 00:09:23,491 --> 00:09:28,018 それは 近日点引数は 現象の 一部を見ているに過ぎないということです 201 00:09:28,019 --> 00:09:30,224 これらの天体は 正しい見方をすれば 202 00:09:30,224 --> 00:09:34,107 実際には 軌道は宇宙空間で 同じ方向を向き 203 00:09:34,107 --> 00:09:37,901 同じ方向に傾いているのです 204 00:09:37,901 --> 00:09:42,231 まるで 広場で全ての人が 同じ方向に向かって歩き 205 00:09:42,231 --> 00:09:45,628 進行方向に対し 揃って 45度右側を見ているようなものです 206 00:09:45,628 --> 00:09:47,194 それなら 説明は簡単です 207 00:09:47,194 --> 00:09:49,648 みんな何かを見ているんです 208 00:09:49,648 --> 00:09:54,400 外太陽系のこれらの天体は 全てあるものに反応しているのです 209 00:09:55,000 --> 00:09:56,689 一体 何でしょうか? 210 00:09:56,689 --> 00:09:58,526 コンスタンティンと私は 211 00:09:58,526 --> 00:10:03,362 外太陽系の遠方の巨大な惑星に 依存しない説明を探そうと 212 00:10:03,362 --> 00:10:05,678 1年をかけました 213 00:10:05,678 --> 00:10:09,257 惑星の存在を予言し またもや間違いだと指摘される 214 00:10:09,257 --> 00:10:13,667 33番目と34番目の人間には なりたくなかったのです 215 00:10:14,792 --> 00:10:16,166 しかし 1年経ってみると 216 00:10:16,166 --> 00:10:17,952 他に選択肢はありませんでした 217 00:10:17,952 --> 00:10:19,988 唯一考えられる説明は 218 00:10:19,988 --> 00:10:25,795 太陽系の他の惑星の軌道面に対し 傾斜した軌道上を運行する 219 00:10:25,795 --> 00:10:28,061 巨大な惑星が遠くにあり 220 00:10:28,061 --> 00:10:30,334 外太陽系にある これらの天体の向きを 221 00:10:30,334 --> 00:10:32,340 特徴づけている ということでした 222 00:10:32,340 --> 00:10:35,294 そのような惑星は他に どんな影響を及ぼすのでしょう? 223 00:10:35,294 --> 00:10:36,783 セドナは ある方向に向け 224 00:10:36,783 --> 00:10:39,689 太陽から遠ざかるような 奇妙な軌道を描いていましたが 225 00:10:39,689 --> 00:10:43,378 このような惑星はたえず そういう軌道を生み出すものです 226 00:10:43,632 --> 00:10:45,478 何か答えが得られそうでした 227 00:10:45,808 --> 00:10:48,515 そして今に至ります 228 00:10:48,813 --> 00:10:53,250 私達は いわば1845年の パリにいるんです 229 00:10:53,083 --> 00:10:54,308 (笑) 230 00:10:54,308 --> 00:10:59,546 彼方の巨大な惑星の影響を観察し 231 00:10:59,546 --> 00:11:01,611 徹底した計算を行って 232 00:11:01,611 --> 00:11:04,776 この惑星を見つけるためには 望遠鏡をどの方向に向けるべきか 233 00:11:04,776 --> 00:11:06,271 言い当てようとしています 234 00:11:06,271 --> 00:11:09,316 大がかりなコンピュータ・シミュレーションを 何度も行い 235 00:11:09,316 --> 00:11:11,353 解析的な計算に何か月も費やした結果 236 00:11:11,353 --> 00:11:13,809 今の時点で申し上げられることは 237 00:11:13,809 --> 00:11:17,110 まず第1に 我々が「第9惑星」と呼ぶ天体は ― 238 00:11:17,110 --> 00:11:19,778 そのまんまの名前ですが 239 00:11:20,750 --> 00:11:24,001 地球の6倍の質量を持っています 240 00:11:24,001 --> 00:11:27,601 冥王星よりちょっと小さいので 惑星と呼ぶべきかみんなで議論しよう— 241 00:11:27,601 --> 00:11:29,011 というようなものではなく 242 00:11:29,011 --> 00:11:32,251 太陽系で5番目に大きい 惑星となります 243 00:11:32,251 --> 00:11:35,971 比較のために 惑星の大きさを示します 244 00:11:35,971 --> 00:11:39,202 後ろにあるのが 巨大な木星と土星です 245 00:11:39,891 --> 00:11:42,850 その横に やや小さめの 天王星と海王星があり 246 00:11:42,850 --> 00:11:46,252 上の端にあるのが地球型惑星である 水星、金星、地球、火星です 247 00:11:46,252 --> 00:11:47,753 海王星軌道の外にある ― 248 00:11:47,753 --> 00:11:50,913 冥王星を含む氷の天体から成る (カイパー)ベルトが見えます 249 00:11:50,913 --> 00:11:53,026 よかったら冥王星を 探してみてください 250 00:11:53,026 --> 00:11:55,378 そして これが第9惑星です 251 00:11:56,583 --> 00:11:58,728 第9惑星は大きいんです 252 00:11:58,728 --> 00:12:00,025 とても大きいので 253 00:12:00,025 --> 00:12:03,098 なぜ まだ見つからないのか 不思議に思われることでしょう 254 00:12:03,098 --> 00:12:04,288 第9惑星は大型ですが 255 00:12:04,288 --> 00:12:06,333 とても遠い場所 ― 256 00:12:06,333 --> 00:12:10,815 海王星までの距離の 15倍ほど離れた場所にあります 257 00:12:11,055 --> 00:12:14,372 そのため明るさは海王星の 5万分の1程度です 258 00:12:14,375 --> 00:12:17,309 空はとても広大なので 259 00:12:17,314 --> 00:12:19,408 この惑星がどこにあるか 260 00:12:19,408 --> 00:12:22,018 比較的狭い範囲に絞り込みましたが 261 00:12:22,026 --> 00:12:25,069 それでも その範囲を望遠鏡で 系統立てて調査するには 262 00:12:25,069 --> 00:12:26,442 何年もかかるでしょう 263 00:12:26,442 --> 00:12:28,966 このように遠く 暗い惑星を観測するには 264 00:12:28,966 --> 00:12:31,339 大型望遠鏡が必要になります 265 00:12:31,543 --> 00:12:34,246 幸い そうする必要は ないかもしれません 266 00:12:34,616 --> 00:12:38,539 ブヴァールは 天王星発見の91年前の 267 00:12:38,539 --> 00:12:42,351 そうとは知らずに観察された 記録を用いましたが 268 00:12:42,351 --> 00:12:45,908 同様に 第9惑星の位置を示す 269 00:12:45,908 --> 00:12:49,387 撮影済みの画像がきっとあるでしょう 270 00:12:50,000 --> 00:12:53,973 古いデータを徹底的に探索し かすかに光りながら移動している ― 271 00:12:53,973 --> 00:12:55,837 この惑星を見つけ出すのは 272 00:12:55,837 --> 00:12:58,458 大がかりな計算になります 273 00:12:59,292 --> 00:13:00,699 作業は進行中で 274 00:13:00,699 --> 00:13:03,064 完了が近づいていると思っています 275 00:13:03,064 --> 00:13:05,625 心の準備をしてください 276 00:13:05,625 --> 00:13:08,958 ルヴェリエが達成した 277 00:13:08,958 --> 00:13:10,445 「位置を予測して 278 00:13:10,445 --> 00:13:13,612 一晩のうちに 予測した場所の 非常に近くに惑星を見つけた」 279 00:13:13,612 --> 00:13:15,266 という記録にはかないませんが 280 00:13:15,266 --> 00:13:18,743 私は確信しています 数年以内に 281 00:13:18,743 --> 00:13:21,064 どこかの国で 天文学者の誰かが 282 00:13:21,064 --> 00:13:25,662 空をゆっくりと移動する かすかな光を見つけ出し 283 00:13:25,662 --> 00:13:29,248 新たな惑星を見つけたという 勝利の雄たけびを上げることでしょう 284 00:13:29,248 --> 00:13:34,221 それはきっと 太陽系における真の惑星の 最後の発見とはならないでしょうけどね 285 00:13:34,221 --> 00:13:35,497 ありがとう 286 00:13:35,497 --> 00:13:39,083 (拍手)