WEBVTT 00:00:01.000 --> 00:00:03.947 まずは 200年前の話から始めましょう 00:00:04.792 --> 00:00:08.155 1820年 フランスの天文学者 アレクシス・ブヴァールは 00:00:08.155 --> 00:00:13.309 惑星発見者として名を残す 2人目の人物となるところでした 00:00:13.316 --> 00:00:14.799 古い星表を参考にして 00:00:14.799 --> 00:00:18.348 夜空に見える天王星の位置を 追跡していましたが 00:00:18.348 --> 00:00:20.889 彼の予測とは ちょっと違った振る舞いで 00:00:20.889 --> 00:00:23.198 太陽の周りを回っていたのです 00:00:23.208 --> 00:00:25.236 時に 動きが少しだけ速すぎたり 00:00:25.236 --> 00:00:27.058 遅すぎたりしていました 00:00:27.058 --> 00:00:30.785 ブヴァールは 自分の計算は完璧だと思っていました 00:00:30.785 --> 00:00:34.022 だから 古い星表が 間違っているに違いないと思い 00:00:34.022 --> 00:00:36.247 当時の天文学者に言いました 00:00:36.247 --> 00:00:38.254 「もっと正確な観測を行ってくれ」 00:00:38.509 --> 00:00:40.162 すると 再測定が行われました 00:00:40.162 --> 00:00:42.085 天文学者は その後20年をかけて 00:00:42.085 --> 00:00:46.068 天王星の位置を 細心の注意を払って追跡しましたが 00:00:46.068 --> 00:00:49.830 なおも ブヴァールの予測と 一致しませんでした NOTE Paragraph 00:00:49.830 --> 00:00:51.476 1840年までには 00:00:51.476 --> 00:00:55.144 問題は 星表にあるのではなく 00:00:55.144 --> 00:00:57.886 予測にあることが 明らかになりました 00:00:57.886 --> 00:00:59.847 天文学者には 理由が分かっていました 00:00:59.847 --> 00:01:03.693 天王星軌道の外に 巨大な惑星があるに違いないと 00:01:03.693 --> 00:01:05.386 気づいたのです 00:01:05.386 --> 00:01:07.268 それが天王星の軌道に 影響を及ぼし 00:01:07.279 --> 00:01:09.819 時には 天王星の速度を少し速め 00:01:09.819 --> 00:01:11.687 時には 遅くしているのだと NOTE Paragraph 00:01:12.750 --> 00:01:15.334 1840年当時は 苛立たしかったに違いありません 00:01:15.334 --> 00:01:18.321 その彼方にある巨大惑星の 重力効果が観察できるのに 00:01:18.324 --> 00:01:21.948 実際にその巨大惑星を探し当てる方法が 無かったのですから 00:01:21.948 --> 00:01:24.300 本当です 本当に 苛立たしいんです NOTE Paragraph 00:01:24.300 --> 00:01:25.583 (笑) NOTE Paragraph 00:01:25.583 --> 00:01:27.979 しかし 1846年に 別のフランス人天文学者 00:01:27.979 --> 00:01:30.517 ユルバン・ルヴェリエが 計算を行い 00:01:30.517 --> 00:01:33.271 この惑星の位置を突き止める方法を 見つけ出すと 00:01:33.271 --> 00:01:36.151 予測結果を ベルリン天文台に送りました 00:01:36.151 --> 00:01:39.043 天文台が 望遠鏡を稼働させた 最初の晩に 00:01:39.043 --> 00:01:41.951 かすかな光を放ち 空をゆっくりと移動する点が 00:01:41.951 --> 00:01:42.875 見つかりました 00:01:42.875 --> 00:01:44.321 海王星の発見です 00:01:44.321 --> 00:01:48.569 ルヴェリエが予測した位置から 本当に近い所にありました NOTE Paragraph 00:01:49.875 --> 00:01:53.541 これは 予測、予測との不一致 新たな理論 00:01:53.541 --> 00:01:57.440 そして発見という大勝利に至る 非常に典型的なストーリーであり 00:01:57.440 --> 00:02:00.393 ルヴェリエが一躍 有名になったので 00:02:00.393 --> 00:02:03.127 他の人々も 直ぐに真似しようとしました 00:02:03.127 --> 00:02:05.618 過去163年間に 00:02:05.618 --> 00:02:11.202 何十人もの天文学者が 軌道が食い違っているとして 00:02:11.202 --> 00:02:15.374 太陽系にある未発見の惑星の存在を 予言しました NOTE Paragraph 00:02:16.292 --> 00:02:19.160 全て 誤りでした NOTE Paragraph 00:02:20.125 --> 00:02:22.079 その中でも 最も有名なのが 00:02:22.079 --> 00:02:24.193 パーシヴァル・ローウェルの予言です 00:02:24.193 --> 00:02:28.512 彼は 天王星と海王星のすぐ先に これらの軌道に影響を与えている ― 00:02:28.512 --> 00:02:30.498 惑星があるはずだと確信しました 00:02:30.498 --> 00:02:32.841 そして 1930年に冥王星が 00:02:32.841 --> 00:02:35.114 ローウェル天文台によって 発見されると 00:02:35.114 --> 00:02:39.227 誰もが これはローウェルが予言した 惑星に違いないと思いました 00:02:39.227 --> 00:02:41.223 これは間違いでした 00:02:41.673 --> 00:02:45.796 天王星や海王星は あるべきところに あることが 今では判明しています 00:02:45.796 --> 00:02:47.551 その理解に100年かかりましたが 00:02:47.551 --> 00:02:49.728 ブヴァールは 結局のところ 正しかったのです 00:02:49.728 --> 00:02:52.788 天文学者は もっと正確な測定を する必要があったのです 00:02:52.788 --> 00:02:54.523 再測定を行い 00:02:54.523 --> 00:02:57.028 より正確なデータを用いた結果 00:02:57.028 --> 00:03:02.773 天王星や海王星の軌道のすぐ外側には 他の惑星が存在しないということが分かり 00:03:02.773 --> 00:03:05.582 冥王星がこれらの惑星の軌道に 影響を及ぼすには 00:03:05.582 --> 00:03:08.275 数千倍の質量が 必要だと分かりました NOTE Paragraph 00:03:08.275 --> 00:03:10.947 冥王星は 当初予言された惑星とは 00:03:10.947 --> 00:03:13.517 異なるものだと判明したものの 00:03:13.517 --> 00:03:17.647 惑星群の外側にある 今では何千もあることが知られている 00:03:17.647 --> 00:03:21.708 小さな氷でできた天体の 最初の発見になりました 00:03:21.708 --> 00:03:23.245 ご覧になっているのは 00:03:23.245 --> 00:03:27.194 木星、土星、天王星、海王星の軌道です 00:03:27.194 --> 00:03:29.594 中心近くの小さな円の中には 00:03:29.594 --> 00:03:33.358 地球と太陽と 皆さんが知り 親しまれている ほとんどすべてがあります 00:03:33.358 --> 00:03:35.125 また 縁辺部にある黄色の円は 00:03:35.125 --> 00:03:37.958 惑星群の外側にある 氷でできた天体です 00:03:37.958 --> 00:03:39.997 氷の天体の軌道は 00:03:39.997 --> 00:03:42.085 惑星の重力場により 00:03:42.085 --> 00:03:44.867 完全に予測可能な仕方で 影響を受けています 00:03:44.867 --> 00:03:50.101 太陽を周回するあらゆる天体は 正確に理論通りに運動しています NOTE Paragraph 00:03:50.958 --> 00:03:52.159 ほぼ正確にですが NOTE Paragraph 00:03:52.252 --> 00:03:54.239 さて 2003年のこと 00:03:54.239 --> 00:03:56.142 私は 太陽系の中で 00:03:56.142 --> 00:03:59.871 当時としては最も遠いところにある 天体を発見しました 00:03:59.871 --> 00:04:02.273 この孤立した天体を見ると 言いたくなります 00:04:02.273 --> 00:04:04.198 ああ ローウェルは 間違ってたんだ 00:04:04.198 --> 00:04:06.224 海王星のすぐ先に 惑星はなかったけど 00:04:06.224 --> 00:04:08.962 これこそ新惑星かもしれないと 00:04:08.962 --> 00:04:10.543 まず解明すべき問題は 00:04:10.543 --> 00:04:13.026 太陽の周りをどんな軌道で 回っているのかです 00:04:13.026 --> 00:04:16.589 惑星ならばそうあるべき 円軌道なのか? 00:04:16.589 --> 00:04:20.342 それとも この帯状に分布する 氷の天体の一員にすぎず 00:04:20.342 --> 00:04:23.974 少しだけ外側にはじき出されて 戻ってくるところなのか? NOTE Paragraph 00:04:24.334 --> 00:04:26.431 これはまさに 00:04:26.431 --> 00:04:31.555 天文学者が200年前に天王星について 解明しようとした問題と同じです 00:04:31.555 --> 00:04:34.545 彼らは それまで見過ごされていた ― 00:04:34.545 --> 00:04:37.768 天王星発見の91年前の 観測記録を用いて 00:04:37.777 --> 00:04:39.542 その全軌道を明らかにしました 00:04:39.542 --> 00:04:41.903 我々は そこまで過去に 遡れませんでしたが 00:04:41.903 --> 00:04:46.149 この天体に関する13年前の 観測データを見つけたので 00:04:46.149 --> 00:04:48.568 太陽周回軌道を 導き出すことができました NOTE Paragraph 00:04:48.568 --> 00:04:49.669 問題は 00:04:49.996 --> 00:04:52.617 惑星のような円軌道なのか 00:04:52.617 --> 00:04:54.555 それとも 氷の天体のような軌道で 00:04:54.555 --> 00:04:56.309 戻ってくる途中にあるのか? 00:04:56.309 --> 00:04:57.437 その答えは 00:04:57.895 --> 00:04:59.268 どちらでもありません NOTE Paragraph 00:04:59.292 --> 00:05:02.186 この天体は ひどく細長い軌道を描いており 00:05:02.186 --> 00:05:05.695 1万年かけて 太陽の周りを回ります 00:05:05.695 --> 00:05:08.145 我々はこの天体を 「セドナ」と命名しました 00:05:08.145 --> 00:05:10.520 常に氷の世界にいることに 敬意を表し 00:05:10.520 --> 00:05:13.950 イヌイットの海の女神の名前から 取りました 00:05:13.950 --> 00:05:15.717 セドナについて分かっているのは 00:05:15.717 --> 00:05:17.792 冥王星の3分の1ほどの 大きさで 00:05:17.792 --> 00:05:22.423 海王星の先にある氷の天体群の 比較的典型的な一員だということです 00:05:22.423 --> 00:05:26.050 比較的というのは 奇妙な軌道を描いている点が例外だからです 00:05:26.229 --> 00:05:27.325 この軌道を見たら 00:05:27.325 --> 00:05:30.706 「ああ 奇妙だな 公転周期が1万年なんて」 と思うかもしれませんが 00:05:30.706 --> 00:05:32.442 奇妙なのは そのことではありません 00:05:32.442 --> 00:05:34.695 奇妙なのは その1万年の間に 00:05:34.695 --> 00:05:38.843 セドナが 他の太陽系の天体に 接近することがないことです 00:05:38.843 --> 00:05:41.183 太陽に最も近づいた時でも 00:05:41.183 --> 00:05:43.469 セドナと海王星の間の距離は 00:05:43.469 --> 00:05:45.879 海王星と地球の間の距離よりも 離れています NOTE Paragraph 00:05:47.042 --> 00:05:49.166 もし セドナが このような軌道を描き 00:05:49.166 --> 00:05:51.917 1回公転する間に 海王星の軌道に触れるのであれば 00:05:51.917 --> 00:05:54.698 説明は簡単だったことでしょう 00:05:54.698 --> 00:05:56.643 元々氷の天体の領域にあって 00:05:56.643 --> 00:06:00.370 太陽の周りを円軌道で 回っていた天体が 00:06:00.370 --> 00:06:02.503 ある時 海王星に接近しすぎたために 00:06:02.503 --> 00:06:06.350 軌道からはじき出され 現在 戻ってくる途上にあるということです NOTE Paragraph 00:06:07.333 --> 00:06:11.120 しかし セドナには はじき出したはずの天体が 00:06:11.120 --> 00:06:14.553 太陽系において 知られる限りでは存在しません 00:06:14.553 --> 00:06:16.459 それは海王星ではあり得ず 00:06:16.459 --> 00:06:19.297 何か別の天体があったはずです 00:06:19.560 --> 00:06:22.092 影響を及ぼしている天体が 不明な重力効果が 00:06:22.092 --> 00:06:26.639 外太陽系(木星以遠)において 観測されたのは 00:06:27.546 --> 00:06:29.677 1845年以来 初めてのことでした NOTE Paragraph 00:06:30.208 --> 00:06:32.438 私は その答えなら 分かると思いました 00:06:33.118 --> 00:06:38.347 外太陽系の遠く離れた場所に 巨大惑星があるという見方もありますが 00:06:38.347 --> 00:06:40.616 その頃までには これは 馬鹿げた考えで 00:06:40.616 --> 00:06:42.447 全く信憑性がないと されていたため 00:06:42.447 --> 00:06:44.537 私自身 真剣に とらえていませんでした 00:06:44.537 --> 00:06:45.831 しかし 45億年前 00:06:45.831 --> 00:06:50.644 何百という恒星の幼生を宿す 誕生の場から太陽が形成されたとき 00:06:50.644 --> 00:06:52.325 その中の1つの恒星が偶然に 00:06:52.325 --> 00:06:54.711 セドナにほんの少し 近づきすぎたことで 00:06:54.711 --> 00:06:58.525 現在の軌道へと 押しやったのかもしれません 00:06:58.525 --> 00:07:02.276 一連の恒星が 銀河系の中へと散らばっていくと 00:07:02.520 --> 00:07:05.560 セドナの軌道は 太陽の初期の歴史を 00:07:05.560 --> 00:07:08.254 まるで化石のように 記録として残したのでしょう NOTE Paragraph 00:07:08.824 --> 00:07:10.644 私は太陽の誕生の歴史を 00:07:10.644 --> 00:07:14.304 化石化された記録として考察できる という考えにワクワクし 00:07:14.304 --> 00:07:17.293 その後の十年間 セドナのような軌道をもった 00:07:17.293 --> 00:07:18.933 天体をさらに探しました 00:07:18.933 --> 00:07:22.109 十年かけて見つけた数は 「ゼロ」です NOTE Paragraph 00:07:22.109 --> 00:07:23.239 (笑) NOTE Paragraph 00:07:23.239 --> 00:07:27.116 でも 同僚のチャド・トルヒーヨと スコット・シェパードはもっと上手くやって 00:07:27.116 --> 00:07:30.200 セドナのような軌道をもった天体を いくつか発見しています 00:07:30.200 --> 00:07:31.684 本当にワクワクします NOTE Paragraph 00:07:31.708 --> 00:07:33.366 しかし さらに興味深いことに 00:07:33.366 --> 00:07:36.070 彼らの発見によると これらの天体は全部 00:07:36.070 --> 00:07:40.058 他から隔たった細長い軌道を もっているだけではなく 00:07:40.058 --> 00:07:45.380 天体運動を表す 知名度の低い 「近日点引数」という軌道要素が 00:07:45.380 --> 00:07:49.480 同じような値を示しているのです 00:07:50.250 --> 00:07:52.185 近日点引数が 近い値にあると知ると 00:07:52.185 --> 00:07:54.192 彼らは すぐさま 非常に興奮して 00:07:54.192 --> 00:07:57.404 「遠方にある巨大な惑星の影響に 違いない」と語り合いました 00:07:57.404 --> 00:08:00.860 とても興奮する話ですが ただ 筋が全く通らないんです NOTE Paragraph 00:08:01.083 --> 00:08:03.601 そのわけを たとえを用いて説明します 00:08:03.625 --> 00:08:06.977 ある人が広場を歩いていて 00:08:06.977 --> 00:08:10.563 進行方向の45度右に 顔を向けています 00:08:11.125 --> 00:08:13.176 そうなる理由は 色々と考えられるので 00:08:13.176 --> 00:08:15.010 説明はとても容易です 00:08:15.010 --> 00:08:16.944 では 大勢の人がいて 00:08:16.944 --> 00:08:20.792 皆 バラバラの方向に向かって 広場を歩いていますが 00:08:20.792 --> 00:08:24.207 皆が進行方向の45度右を 向いているとしたらどうでしょう? 00:08:24.208 --> 00:08:26.242 皆が違う方向に向かって歩き 00:08:26.250 --> 00:08:28.445 違う方向に顔を向けているのに 00:08:28.445 --> 00:08:31.726 進行方向に対する顔の向きは 揃って45度なんです 00:08:31.726 --> 00:08:34.092 そんなことが どうしたら起きるのでしょう? 00:08:34.917 --> 00:08:36.357 私には全く分かりません 00:08:36.357 --> 00:08:39.983 そんなことが起こる理由を 考え出すのは簡単じゃありません NOTE Paragraph 00:08:39.983 --> 00:08:41.281 (笑) NOTE Paragraph 00:08:41.281 --> 00:08:44.336 近日点引数が近い値に なっているというのは 00:08:44.336 --> 00:08:47.510 まさに そういうことなのです NOTE Paragraph 00:08:47.510 --> 00:08:50.316 たいていの科学者たちは当惑し 単なる偶然か 00:08:50.316 --> 00:08:52.653 観測ミスに違いないと考えました 00:08:52.653 --> 00:08:54.279 彼らは天文学者に対し 00:08:54.279 --> 00:08:56.923 「もっと正確な観測を行ってくれ」 と伝えました 00:08:56.923 --> 00:08:59.842 私は観測データを とても注意深く調べましたが 00:08:59.842 --> 00:09:01.163 正確なデータでした 00:09:01.163 --> 00:09:02.503 これらの天体は 00:09:02.503 --> 00:09:05.650 たしかに 同じ近日点引数を もっていたのです 00:09:05.650 --> 00:09:07.132 あり得ないことです 00:09:07.132 --> 00:09:10.291 何かがこの現象を 引き起こしているに違いありませんでした NOTE Paragraph 00:09:11.125 --> 00:09:15.381 パズルの最後のピースが 2016年に見つかりました 00:09:15.381 --> 00:09:18.075 3つ離れた部屋で働いている同僚の 00:09:18.075 --> 00:09:20.696 コンスタンティン・バティーギンと 私が 00:09:20.696 --> 00:09:23.491 皆を困惑させている原因に 気づいたのです 00:09:23.491 --> 00:09:28.018 それは 近日点引数は 現象の 一部を見ているに過ぎないということです 00:09:28.019 --> 00:09:30.224 これらの天体は 正しい見方をすれば 00:09:30.224 --> 00:09:34.107 実際には 軌道は宇宙空間で 同じ方向を向き 00:09:34.107 --> 00:09:37.901 同じ方向に傾いているのです 00:09:37.901 --> 00:09:42.231 まるで 広場で全ての人が 同じ方向に向かって歩き 00:09:42.231 --> 00:09:45.628 進行方向に対し 揃って 45度右側を見ているようなものです 00:09:45.628 --> 00:09:47.194 それなら 説明は簡単です 00:09:47.194 --> 00:09:49.648 みんな何かを見ているんです 00:09:49.648 --> 00:09:54.400 外太陽系のこれらの天体は 全てあるものに反応しているのです 00:09:55.000 --> 00:09:56.689 一体 何でしょうか? NOTE Paragraph 00:09:56.689 --> 00:09:58.526 コンスタンティンと私は 00:09:58.526 --> 00:10:03.362 外太陽系の遠方の巨大な惑星に 依存しない説明を探そうと 00:10:03.362 --> 00:10:05.678 1年をかけました 00:10:05.678 --> 00:10:09.257 惑星の存在を予言し またもや間違いだと指摘される 00:10:09.257 --> 00:10:13.667 33番目と34番目の人間には なりたくなかったのです 00:10:14.792 --> 00:10:16.166 しかし 1年経ってみると 00:10:16.166 --> 00:10:17.952 他に選択肢はありませんでした 00:10:17.952 --> 00:10:19.988 唯一考えられる説明は 00:10:19.988 --> 00:10:25.795 太陽系の他の惑星の軌道面に対し 傾斜した軌道上を運行する 00:10:25.795 --> 00:10:28.061 巨大な惑星が遠くにあり 00:10:28.061 --> 00:10:30.334 外太陽系にある これらの天体の向きを 00:10:30.334 --> 00:10:32.340 特徴づけている ということでした NOTE Paragraph 00:10:32.340 --> 00:10:35.294 そのような惑星は他に どんな影響を及ぼすのでしょう? 00:10:35.294 --> 00:10:36.783 セドナは ある方向に向け 00:10:36.783 --> 00:10:39.689 太陽から遠ざかるような 奇妙な軌道を描いていましたが 00:10:39.689 --> 00:10:43.378 このような惑星はたえず そういう軌道を生み出すものです 00:10:43.632 --> 00:10:45.478 何か答えが得られそうでした NOTE Paragraph 00:10:45.808 --> 00:10:48.515 そして今に至ります 00:10:48.813 --> 00:10:53.250 私達は いわば1845年の パリにいるんです NOTE Paragraph 00:10:53.083 --> 00:10:54.308 (笑) NOTE Paragraph 00:10:54.308 --> 00:10:59.546 彼方の巨大な惑星の影響を観察し 00:10:59.546 --> 00:11:01.611 徹底した計算を行って 00:11:01.611 --> 00:11:04.776 この惑星を見つけるためには 望遠鏡をどの方向に向けるべきか 00:11:04.776 --> 00:11:06.271 言い当てようとしています NOTE Paragraph 00:11:06.271 --> 00:11:09.316 大がかりなコンピュータ・シミュレーションを 何度も行い 00:11:09.316 --> 00:11:11.353 解析的な計算に何か月も費やした結果 00:11:11.353 --> 00:11:13.809 今の時点で申し上げられることは NOTE Paragraph 00:11:13.809 --> 00:11:17.110 まず第1に 我々が「第9惑星」と呼ぶ天体は ― 00:11:17.110 --> 00:11:19.778 そのまんまの名前ですが 00:11:20.750 --> 00:11:24.001 地球の6倍の質量を持っています 00:11:24.001 --> 00:11:27.601 冥王星よりちょっと小さいので 惑星と呼ぶべきかみんなで議論しよう— 00:11:27.601 --> 00:11:29.011 というようなものではなく 00:11:29.011 --> 00:11:32.251 太陽系で5番目に大きい 惑星となります 00:11:32.251 --> 00:11:35.971 比較のために 惑星の大きさを示します 00:11:35.971 --> 00:11:39.202 後ろにあるのが 巨大な木星と土星です 00:11:39.891 --> 00:11:42.850 その横に やや小さめの 天王星と海王星があり 00:11:42.850 --> 00:11:46.252 上の端にあるのが地球型惑星である 水星、金星、地球、火星です 00:11:46.252 --> 00:11:47.753 海王星軌道の外にある ― 00:11:47.753 --> 00:11:50.913 冥王星を含む氷の天体から成る (カイパー)ベルトが見えます 00:11:50.913 --> 00:11:53.026 よかったら冥王星を 探してみてください 00:11:53.026 --> 00:11:55.378 そして これが第9惑星です 00:11:56.583 --> 00:11:58.728 第9惑星は大きいんです 00:11:58.728 --> 00:12:00.025 とても大きいので 00:12:00.025 --> 00:12:03.098 なぜ まだ見つからないのか 不思議に思われることでしょう 00:12:03.098 --> 00:12:04.288 第9惑星は大型ですが 00:12:04.288 --> 00:12:06.333 とても遠い場所 ― 00:12:06.333 --> 00:12:10.815 海王星までの距離の 15倍ほど離れた場所にあります 00:12:11.055 --> 00:12:14.372 そのため明るさは海王星の 5万分の1程度です 00:12:14.375 --> 00:12:17.309 空はとても広大なので 00:12:17.314 --> 00:12:19.408 この惑星がどこにあるか 00:12:19.408 --> 00:12:22.018 比較的狭い範囲に絞り込みましたが 00:12:22.026 --> 00:12:25.069 それでも その範囲を望遠鏡で 系統立てて調査するには 00:12:25.069 --> 00:12:26.442 何年もかかるでしょう 00:12:26.442 --> 00:12:28.966 このように遠く 暗い惑星を観測するには 00:12:28.966 --> 00:12:31.339 大型望遠鏡が必要になります 00:12:31.543 --> 00:12:34.246 幸い そうする必要は ないかもしれません NOTE Paragraph 00:12:34.616 --> 00:12:38.539 ブヴァールは 天王星発見の91年前の 00:12:38.539 --> 00:12:42.351 そうとは知らずに観察された 記録を用いましたが 00:12:42.351 --> 00:12:45.908 同様に 第9惑星の位置を示す 00:12:45.908 --> 00:12:49.387 撮影済みの画像がきっとあるでしょう 00:12:50.000 --> 00:12:53.973 古いデータを徹底的に探索し かすかに光りながら移動している ― 00:12:53.973 --> 00:12:55.837 この惑星を見つけ出すのは 00:12:55.837 --> 00:12:58.458 大がかりな計算になります 00:12:59.292 --> 00:13:00.699 作業は進行中で 00:13:00.699 --> 00:13:03.064 完了が近づいていると思っています NOTE Paragraph 00:13:03.064 --> 00:13:05.625 心の準備をしてください 00:13:05.625 --> 00:13:08.958 ルヴェリエが達成した 00:13:08.958 --> 00:13:10.445 「位置を予測して 00:13:10.445 --> 00:13:13.612 一晩のうちに 予測した場所の 非常に近くに惑星を見つけた」 00:13:13.612 --> 00:13:15.266 という記録にはかないませんが 00:13:15.266 --> 00:13:18.743 私は確信しています 数年以内に 00:13:18.743 --> 00:13:21.064 どこかの国で 天文学者の誰かが 00:13:21.064 --> 00:13:25.662 空をゆっくりと移動する かすかな光を見つけ出し 00:13:25.662 --> 00:13:29.248 新たな惑星を見つけたという 勝利の雄たけびを上げることでしょう 00:13:29.248 --> 00:13:34.221 それはきっと 太陽系における真の惑星の 最後の発見とはならないでしょうけどね NOTE Paragraph 00:13:34.221 --> 00:13:35.497 ありがとう NOTE Paragraph 00:13:35.497 --> 00:13:39.083 (拍手)