0:00:07.245,0:00:11.543 世界中では毎年10万トン以上の[br]カフェインが 0:00:11.543,0:00:13.812 消費されています 0:00:13.812,0:00:18.034 それは エッフェル塔14個分と同じ重さです 0:00:18.034,0:00:21.344 殆どのカフェインは お茶やコーヒーから[br]摂取されていますが 0:00:21.344,0:00:23.613 ある種のソーダ 0:00:23.613,0:00:24.667 チョコレート 0:00:24.667,0:00:26.244 カフェイン剤や 0:00:26.244,0:00:29.264 カフェインレスと称している[br]飲み物からも摂取されています 0:00:29.264,0:00:32.991 カフェインはたとえ[br]十分な睡眠を取らなくても 0:00:32.991,0:00:35.982 注意力 、集中力、 幸福感と[br]活力を感じるのに役立ちます 0:00:35.982,0:00:40.410 しかし カフェインは血圧を上げたり[br]不安を感じさせることもあります 0:00:40.410,0:00:43.153 カフェインは世界で最も広く[br]使われている薬です 0:00:43.153,0:00:46.612 それでは カフェインが[br]私達を覚醒させる仕組みとは? 0:00:46.612,0:00:50.892 カフェインは いくつかの効能により[br]植物で進化したものです 0:00:50.892,0:00:55.474 特定の種の葉っぱや種に[br]大量に含まれるカフェインは 0:00:55.474,0:00:57.784 虫にとって毒性があります 0:00:57.784,0:01:01.672 しかし 花蜜に含まれる[br]小量のものなら 0:01:01.672,0:01:05.924 虫が花を覚え 再訪する助けになります 0:01:05.924,0:01:11.403 人間の体の中では カフェインは[br]中枢神経系を刺激します 0:01:11.403,0:01:15.747 カフェインは体内の睡眠を誘導する[br]分子の働きを抑制し 覚醒させます 0:01:15.747,0:01:19.402 この分子はアデノシンと言います 0:01:19.402,0:01:22.013 あなたの体は常にエネルギーの供給を[br]必要としています 0:01:22.013,0:01:27.314 それは アデノシン三リン酸という[br]高エネルギー分子を分解して得られます 0:01:27.314,0:01:28.254 この過程では 0:01:28.254,0:01:32.794 アデノシン三リン酸の化学的な[br]基本構造をなしているアデノシンを解放します 0:01:32.794,0:01:37.645 脳内のニューロンにはこの分子に[br]ぴったりと結びつく受容体があります 0:01:37.645,0:01:39.954 アデノシンがこの受容体に結合すると 0:01:39.954,0:01:43.665 連鎖的な生化学的反応を活性化させ 0:01:43.665,0:01:45.926 ニューロンの発火をゆるやかにし 0:01:45.926,0:01:50.465 脳内のシグナル伝達分子の放出を[br]遅らせます 0:01:50.465,0:01:53.265 簡単に言えば 眠くなります 0:01:53.265,0:01:58.285 カフェインはアデノシン拮抗剤と[br]呼ばれています 0:01:58.285,0:02:01.856 アデノシン拮抗剤はアデノシン受容体を[br]ブロックすることにより 0:02:01.856,0:02:04.385 体を眠くするプロセスを狂わせます 0:02:04.385,0:02:08.627 カフェインとアデノシンは[br]似た分子構造をもっており 0:02:08.627,0:02:12.456 カフェインはアデノシン受容体を[br]塞ぐことができますが 0:02:12.456,0:02:15.266 受容体を活性化させるほどには[br]似ていません 0:02:15.266,0:02:18.855 要するに アデノシンは[br]ニューロンを抑制しますが 0:02:18.855,0:02:24.727 カフェインがこの抑制物質を妨げ[br]体を興奮させます 0:02:24.727,0:02:27.306 カフェインはポジティブな感情を[br]高めることもできます 0:02:27.306,0:02:29.855 ニューロンの中には[br]アデノシン受容体が 0:02:29.855,0:02:34.367 ドーパミンと言う分子に対する[br]受容体とつながっているものもあります 0:02:34.367,0:02:38.570 ドーパミンの脳における役割の一つは[br]喜びの感覚を増やすことです 0:02:38.570,0:02:41.871 アデノシンが[br]これらのつながった受容体の一方に結合すると 0:02:41.871,0:02:45.948 ドーパミンが入るべき場所に[br]結合することが より難しくなり 0:02:45.948,0:02:48.758 喜ばせる作用を遮ります 0:02:48.758,0:02:53.338 カフェインがアデノシンの場所を奪うと[br]アデノシンには同じ効果が作用せず 0:02:53.338,0:02:55.948 ドーパミンは入り込めます 0:02:55.948,0:03:00.930 カフェインのアデノシンと[br]ドーパミン受容体に対する作用には 0:03:00.930,0:03:05.180 長期的な効能があるという[br]証拠もあります 0:03:05.180,0:03:10.129 パーキンソン病 、アルツハイマー病や[br]ある種の癌のリスクを下げるといったことです 0:03:10.129,0:03:14.998 カフェインには体が脂肪を燃焼させる能力を[br]高める効果もあります 0:03:14.998,0:03:17.510 事実 一部のスポーツ組織は 0:03:17.510,0:03:20.960 カフェインが選手に不公平な優位性を[br]もたらすと考え 0:03:20.960,0:03:24.308 カフェインの摂取に制限を設けました 0:03:24.308,0:03:27.120 1972年から2004年まで 0:03:27.120,0:03:31.739 五輪選手たちは 競技に参加するには [br]血中カフェイン濃度を 0:03:31.739,0:03:34.120 特定の値以下に抑える必要がありました 0:03:34.120,0:03:37.729 もちろん カフェインの効果の全てが[br]良いわけではありません 0:03:37.729,0:03:40.089 気分を良くしたり[br]集中力を上げたりするかもしれませんが 0:03:40.089,0:03:43.220 心拍数や血圧を上げたり 0:03:43.220,0:03:46.410 利尿作用を高めたり[br]下痢を引き起こしたり 0:03:46.410,0:03:49.953 不眠症や不安といった影響を[br]及ぼすこともあります 0:03:49.953,0:03:52.801 さらに カフェインが入っている[br]食べ物や飲み物は 0:03:52.801,0:03:58.541 考慮しなければならない影響を[br]体に及ぼします 0:03:58.541,0:04:01.571 脳は定期的なカフェインの摂取に対して[br]適応することができます 0:04:01.571,0:04:04.832 もし アデノシン受容体が[br]いつも詰まったままだと 0:04:04.832,0:04:07.720 体が新しい受容体を作ります 0:04:07.720,0:04:09.939 だから もしカフェインがいても 0:04:09.939,0:04:15.252 アデノシンは脳にシャットダウンするよう[br]合図をする仕事がまだ出来ます 0:04:15.252,0:04:18.723 集中力を上げるためにもっと多くの[br]カフェインの消費が必要となるのは 0:04:18.723,0:04:20.853 これが原因です 0:04:20.853,0:04:24.473 ブロックすべきアデノシン受容体が[br]さらに増えているのです 0:04:24.473,0:04:26.973 このことは[br]カフェインの摂取を突然やめると 0:04:26.973,0:04:30.194 離脱に不快な経験をすることがある[br]原因にもなっています 0:04:30.194,0:04:32.493 受容体が多くあり[br]カフェインとの競合が無いので 0:04:32.493,0:04:34.853 アデノシンが過剰に[br]作用できることになり 0:04:34.853,0:04:36.473 頭痛 0:04:36.473,0:04:37.634 疲れ 0:04:37.634,0:04:40.212 そして 倦怠感といった症状を[br]引き起こします 0:04:40.212,0:04:44.963 しかし 数日以内に[br]余分なアデノシン受容体が無くなり 0:04:44.963,0:04:46.993 体が再調整して 0:04:46.993,0:04:49.593 世界で最も人気のある覚せい剤を使わなくても 0:04:49.593,0:04:53.593 普段通りの集中力が戻ってきます