WEBVTT 00:00:00.000 --> 00:00:03.000 ♪ [音楽] ♪ 00:00:09.470 --> 00:00:12.170 [アレックス] 企業の費用曲線と 00:00:12.170 --> 00:00:13.870 参入・退出の決定を学んだ今、 00:00:13.870 --> 00:00:17.255 このような根本的な要素が 供給曲線を左右するのか 00:00:17.255 --> 00:00:20.744 示すことができるようになりました。 00:00:21.184 --> 00:00:22.618 詳しく見ていきましょう。 00:00:27.900 --> 00:00:31.894 供給曲線は、企業の参入・退出の決定と 00:00:31.894 --> 00:00:35.440 その決定が費用をどう左右するのか によって決まります。 00:00:35.440 --> 00:00:39.510 では、ある産業の生産が増加すると、 00:00:39.510 --> 00:00:41.940 費用はどう左右されるのでしょうか? 00:00:41.940 --> 00:00:45.550 三つの可能性が考えられます。 まず、費用が増加する産業。 00:00:45.550 --> 00:00:49.460 生産量が増えるにつれ、 費用が増加していく場合です。 00:00:49.460 --> 00:00:51.850 次に、費用が変わらない産業。 00:00:51.850 --> 00:00:53.100 産業の費用は一定で、 00:00:53.100 --> 00:00:56.510 生産量の増減に左右されません。 00:00:56.510 --> 00:00:59.090 最後に、費用が減少する産業。 00:00:59.090 --> 00:01:01.740 生産量が増加するほど、 費用は減少します。 00:01:01.740 --> 00:01:04.400 費用が増加する・一定の産業は 珍しくありません。 00:01:04.400 --> 00:01:06.260 費用が減少する産業は 比較的まれですが、 00:01:06.260 --> 00:01:09.300 のちに説明する経済地理学を 理解するために必要となる、 00:01:09.300 --> 00:01:11.436 興味深い形態であることには 00:01:11.436 --> 00:01:13.230 変わりありません。 00:01:13.230 --> 00:01:14.370 産業の供給曲線が 00:01:14.370 --> 00:01:17.590 企業の参入・退出と、企業の費用曲線に 00:01:17.590 --> 00:01:20.390 由来していることをお見せしましょう。 00:01:20.390 --> 00:01:23.400 費用が増加する産業については 00:01:23.400 --> 00:01:25.390 企業を二つだけ用いて 簡単に説明できます。 00:01:25.390 --> 00:01:28.330 企業1は油の生産者で、 00:01:28.330 --> 00:01:30.310 油は地表にとても近いとしましょう。 00:01:30.310 --> 00:01:33.250 つまり、平均費用曲線は 高くありません。 00:01:33.250 --> 00:01:35.820 企業1は油を安価に生産できます。 00:01:35.820 --> 00:01:40.070 企業2の平均費用曲線は、 企業1よりもずっと高いです。 00:01:40.070 --> 00:01:43.320 企業2は、地中深く掘らないと 00:01:43.320 --> 00:01:47.211 油を確保できないような立地なのです。 00:01:48.090 --> 00:01:49.930 今の情報を元に考えてみましょう。 00:01:49.930 --> 00:01:53.330 油の価格が$17より安ければ、 00:01:53.330 --> 00:01:57.240 油産業の供給曲線はどうなるでしょうか。 00:01:58.680 --> 00:02:01.700 もし油の価格が$17より安ければ、 00:02:01.700 --> 00:02:04.840 どちらの企業も利益が出ません。 00:02:04.840 --> 00:02:07.099 $17は、企業1・2両方の 00:02:07.099 --> 00:02:08.939 平均費用曲線の最小値より少ない値です。 00:02:08.939 --> 00:02:09.980 なので、どちらの企業も 00:02:09.980 --> 00:02:11.920 産業には参入したくありません。 00:02:11.920 --> 00:02:14.860 油の価格が$17よりも安ければ、 00:02:14.860 --> 00:02:19.560 産業の供給量は0なのです。 00:02:20.300 --> 00:02:23.490 油の価格が$17の時はどうでしょう 00:02:23.490 --> 00:02:27.530 $17のとき、企業1は 損益分岐点にあります。 00:02:27.530 --> 00:02:30.890 なので、企業1は 参入するとしましょう。 00:02:30.890 --> 00:02:35.190 $17のとき、産業の供給量は 00:02:35.190 --> 00:02:38.824 企業1の供給量と同じなのです。 00:02:39.130 --> 00:02:43.160 $17のとき、企業2は参入しません。 00:02:43.160 --> 00:02:46.420 まだ価格が安すぎるからです。 00:02:46.420 --> 00:02:48.520 企業2は利益を出せず、 00:02:48.520 --> 00:02:50.950 損失を出してしまうのです。 00:02:50.950 --> 00:02:54.430 実際、油の価格が上昇すると、 00:02:54.430 --> 00:02:59.590 企業2の供給量は限界費用曲線に沿って 00:02:59.590 --> 00:03:01.610 増加していきます。 00:03:01.610 --> 00:03:05.460 $29に到達するまで、 産業の供給曲線は、 00:03:05.460 --> 00:03:07.423 企業1の供給曲線に沿って 00:03:07.423 --> 00:03:10.613 増加していきます。 00:03:10.613 --> 00:03:13.000 $29は企業2の損益分岐点であり、 00:03:13.000 --> 00:03:16.530 この時点で企業2は参入します。 00:03:16.530 --> 00:03:22.068 なので、$29のとき、産業の供給量は 企業1の6単位と、 00:03:22.068 --> 00:03:24.710 企業2の5単位 00:03:24.710 --> 00:03:28.640 合わせて11単位になります。 00:03:29.520 --> 00:03:34.948 価格が$29より高くなると、 企業1と2の供給量は 00:03:34.948 --> 00:03:37.398 限界費用曲線に沿って増加していきます。 00:03:37.398 --> 00:03:39.808 つまり、産業の供給量は、 00:03:39.808 --> 00:03:43.745 両企業の供給量の合計なのです。 00:03:43.745 --> 00:03:49.785 産業の企業曲線は 00:03:49.785 --> 00:03:51.575 右上がりになっています。 00:03:51.575 --> 00:03:56.825 両企業の費用曲線が 異なっているからです。 00:03:56.825 --> 00:04:01.387 この産業に、より多くの企業を 参入させる唯一の方法は、 00:04:01.387 --> 00:04:06.110 費用の高い企業を誘致することなのです。 00:04:06.110 --> 00:04:10.720 そのため、産業の供給曲線は 右上がりになっているのです。 00:04:11.930 --> 00:04:15.020 全く同じ供給源を 用意することが難しい産業は 00:04:15.020 --> 00:04:18.780 費用が増加していく産業となります。 00:04:18.780 --> 00:04:22.490 一例として、油、銅、金、銀など、 00:04:22.490 --> 00:04:24.940 鉱業はどこも同じようなものです。 00:04:24.940 --> 00:04:27.590 同じ金鉱を複製することは できませんよね。 00:04:27.590 --> 00:04:29.710 新たな金鉱を開こうと思えば、 もっと深く掘るか、 00:04:29.710 --> 00:04:30.950 他所で金鉱を開くなど、 00:04:30.950 --> 00:04:34.420 費用は嵩んでしまいます。 00:04:34.420 --> 00:04:36.970 コーヒーも同じです。 00:04:36.970 --> 00:04:38.990 美味しいコーヒーを生産できる場所は 00:04:38.990 --> 00:04:41.310 世界でも限られています。 00:04:41.310 --> 00:04:44.910 ブラジルやグアテマラ以外の場所で コーヒーを生産しようとすれば、 00:04:44.910 --> 00:04:46.570 品質は下がってしまいます。 00:04:46.570 --> 00:04:49.790 より低い高度で生産しようとすると、 00:04:49.790 --> 00:04:52.360 もっと生産しなくてはなりません。 00:04:52.360 --> 00:04:53.840 原子力技術者もそうです。 00:04:53.840 --> 00:04:56.660 原子力技術者の供給を増やすのは とても難しいです。 00:04:56.660 --> 00:05:00.240 原子力技術者になれるような人は 限られています。 00:05:00.240 --> 00:05:03.134 技術者の数を増やそうとすれば、 00:05:03.134 --> 00:05:05.650 機会費用の高い他の産業から 00:05:05.650 --> 00:05:07.920 連れてこなくてはなりません。 00:05:07.920 --> 00:05:11.480 原子力技術者の給料を増やさないことには、 00:05:11.480 --> 00:05:15.530 増員することは難しいのです。 00:05:15.530 --> 00:05:17.532 これが費用が増加する産業です。 00:05:18.200 --> 00:05:23.600 更に、費用が増加する産業から 00:05:23.600 --> 00:05:25.660 製品を多く購入する産業もまた、 00:05:25.660 --> 00:05:28.650 費用が増加する産業です。 00:05:28.650 --> 00:05:32.750 ガソリン産業はその一例です。 00:05:32.750 --> 00:05:37.040 ガソリンの需要が増えれば、 当然、油の需要も増えますが、 00:05:37.040 --> 00:05:40.370 油産業は費用が増加する産業なのです。 00:05:40.370 --> 00:05:43.630 電力産業も、石炭から電力を得る限り、 00:05:43.630 --> 00:05:47.220 費用が増加する産業です。 00:05:47.220 --> 00:05:50.570 電力の需要が増えれば、 石炭の需要も増えますが、 00:05:50.570 --> 00:05:53.015 そうなると石炭の価格は上昇し、 00:05:53.015 --> 00:05:56.635 電力の価格も上昇するのです。 00:05:57.555 --> 00:06:01.160 費用が増加する産業では、 00:06:01.160 --> 00:06:04.900 右上がりの供給曲線が描けるのです。 00:06:04.900 --> 00:06:06.920 次の授業では、費用が一定の産業では 00:06:06.920 --> 00:06:09.890 供給曲線が平坦であり、 00:06:09.890 --> 00:06:12.259 費用が減少する産業では、 00:06:12.259 --> 00:06:13.629 ーもうわかるかもしれませんがー 00:06:13.629 --> 00:06:16.600 右下がりの供給曲線が描けることを ご説明しましょう。 00:06:16.600 --> 00:06:19.100 今回の授業はここまでです。 ありがとうございました。 00:06:20.100 --> 00:06:21.550 [告知] 自分の知識を 00:06:21.550 --> 00:06:23.010 確認したい方は「練習問題」を 00:06:24.000 --> 00:06:27.431 次の動画を見たい方は、 「次の動画」をクリックしてください。 00:06:27.431 --> 00:06:30.400 ♪ [音楽] ♪