WEBVTT 00:00:06.692 --> 00:00:10.852 ある日あなたが政府の諮問機関に 召喚されたと考えてみてください 00:00:10.852 --> 00:00:13.307 何も犯罪を犯しておらず 00:00:13.307 --> 00:00:15.612 告訴もされていないにも関わらず 00:00:15.612 --> 00:00:19.062 政治的な信条を繰り返し質問され 00:00:19.062 --> 00:00:21.083 不誠実だと咎められ 00:00:21.083 --> 00:00:25.652 友人や仲間を告発するように 求められるのです 00:00:25.652 --> 00:00:30.482 協力をしない場合には 投獄されたり 失職する可能性があります 00:00:30.482 --> 00:00:35.062 これは1950年代の米国で 共産主義者を洗い出す活動の中で 00:00:35.062 --> 00:00:40.173 疑いをかけられた人の身に 降りかかったことです 00:00:40.173 --> 00:00:42.962 活動を推進した中でも 最も悪名高い男の名前にちなみ 00:00:42.962 --> 00:00:49.573 マッカーシズムと名づけられたこの出来事は 何千人もの命や仕事を奪いました 00:00:49.573 --> 00:00:54.402 10年以上にもわたり米国の政治指導者は 民主的な自由を守るという名目で 00:00:54.402 --> 00:00:57.274 自由を踏みにじったのです 00:00:57.274 --> 00:00:59.418 1930年代から1940年代の間 00:00:59.418 --> 00:01:04.313 米国には少数ながら 活発な共産党員がいましたが 00:01:04.313 --> 00:01:06.322 彼らの業績は功罪混ざったものでした 00:01:06.322 --> 00:01:09.443 共産党は労働者の権利と公民権の推進に 00:01:09.443 --> 00:01:11.484 重大な役割を果たす一方で 00:01:11.484 --> 00:01:14.794 ソビエト連邦を支援していました 00:01:14.794 --> 00:01:18.163 当初からアメリカの共産党は 00:01:18.163 --> 00:01:20.793 保守派や財界首脳から攻撃され 00:01:20.793 --> 00:01:26.083 リベラル派からは圧政的なソビエト政権との 関係について批判されました 00:01:26.083 --> 00:01:30.784 事実 第二次世界大戦中 米国とソビエトが反ヒトラーで協調していたころ 00:01:30.784 --> 00:01:35.333 アメリカの共産党員はロシア人のために 諜報活動をしていたのです 00:01:35.333 --> 00:01:38.965 冷戦の緊張が高まり この諜報活動が知られるようになると 00:01:38.965 --> 00:01:43.814 米国の共産主義者は 国家安全上の脅威と見られはじめました 00:01:43.814 --> 00:01:45.754 しかしその脅威を排除する試みは 00:01:45.754 --> 00:01:49.213 まもなくアメリカ史上で 最も長く 最も広範な 00:01:49.213 --> 00:01:52.735 政治的抑圧運動に変化しました 00:01:52.735 --> 00:01:54.595 この活動は 官僚 政治家 ジャーナリストや 00:01:54.595 --> 00:01:55.575 この活動は 官僚 政治家 ジャーナリストや 00:01:55.575 --> 00:01:56.585 この活動は 官僚 政治家 ジャーナリストや 00:01:56.585 --> 00:01:58.614 財界人のネットワークにより 急速に広がり 00:01:58.614 --> 00:02:03.465 共産党員による政権転覆の脅威が 誇張されました 00:02:03.465 --> 00:02:05.225 この運動の推進者達は 00:02:05.225 --> 00:02:08.074 中道左派的な政治的信条の持ち主や 00:02:08.074 --> 00:02:11.934 それらの人々につながると思われる人に 嫌がらせをしました 00:02:11.934 --> 00:02:14.285 部屋の壁に現代美術をかけたり 00:02:14.285 --> 00:02:16.295 多民族からなるグループに属したり 00:02:16.295 --> 00:02:19.125 核兵器反対の請願に署名するだけで 00:02:19.125 --> 00:02:21.975 共産党員とみなされたのです 00:02:21.975 --> 00:02:23.636 1940年代の後半になり 00:02:23.636 --> 00:02:26.175 FBI長官のJ・エドガー・フーバーは 00:02:26.175 --> 00:02:30.467 彼の組織の力を共産党と疑われる人々を 狩り出すために使い 00:02:30.467 --> 00:02:33.478 アメリカ社会における 影響力のあるポジションから 00:02:33.478 --> 00:02:36.389 彼らを締め出そうとしました 00:02:36.389 --> 00:02:39.478 フーバーと仲間達が 連邦職員の選別に適用した 00:02:39.478 --> 00:02:41.478 狭隘な尺度は 00:02:41.478 --> 00:02:44.369 国全体に広がりました 00:02:44.369 --> 00:02:45.809 ハリウッドの映画製作所や 00:02:45.809 --> 00:02:46.818 大学 00:02:46.818 --> 00:02:48.179 自動車工場 00:02:48.179 --> 00:02:51.228 何千もの公的機関や民間の雇用主も 00:02:51.228 --> 00:02:57.159 自分達の下で働く男女に 同じ政治的テストを行うようになりました 00:02:57.171 --> 00:03:00.441 それと同時に 連邦議会でも 独自の魔女狩りが行われ 00:03:00.441 --> 00:03:04.600 何百人もが 下院非米活動調査委員会のような 00:03:04.600 --> 00:03:08.960 調査機関の前で証言するように 召喚されました 00:03:08.960 --> 00:03:12.351 もし協力を断れば侮辱罪で投獄されたり 00:03:12.351 --> 00:03:16.310 そうでなくとも解雇されたり 要注意人物と見なされたりしました 00:03:16.310 --> 00:03:18.680 リチャード・ニクソンや ジョセフ・マッカーシーのような 00:03:18.680 --> 00:03:20.431 野心的な政治家達は 00:03:20.431 --> 00:03:23.711 これらの聴聞会を ゲリラ的な武器として使い 00:03:23.711 --> 00:03:26.501 民主党員は共産党に対して生ぬるく 00:03:26.501 --> 00:03:30.821 中国を共産圏に取られたのは 意図的だったなどと批難しました 00:03:30.823 --> 00:03:33.832 ウィスコンシン州の 共和党上院議員マッカーシーは 00:03:33.832 --> 00:03:38.652 国務省の中で常に更新され続ける 共産党被疑者リストを 00:03:38.652 --> 00:03:41.283 誇示したことで悪名を馳せました 00:03:41.283 --> 00:03:43.094 他の政治家達にそそのかされ 00:03:43.094 --> 00:03:45.803 彼は証拠を曲げたりでっち上げたりしながら 00:03:45.803 --> 00:03:49.403 理不尽な告発を続けました 00:03:49.403 --> 00:03:53.523 多くの市民がマッカーシーを非難しましたが 中には彼を賞賛する人もいました 00:03:53.523 --> 00:03:57.533 そして朝鮮戦争が始まると マッカーシーは正当化されたように見えました 00:03:57.533 --> 00:03:59.873 1953年にマッカーシーが 00:03:59.873 --> 00:04:04.344 上院常設調査小委員会の委員長になると 00:04:04.344 --> 00:04:06.613 彼はさらに大胆になりました 00:04:06.613 --> 00:04:12.704 陸軍に対する調査を行うに至り 世論はようやく彼に反対するようになり 00:04:12.704 --> 00:04:15.034 彼の力は衰えました 00:04:15.034 --> 00:04:17.965 上院ではマッカーシーの同僚議員達は 問責決議を行いました 00:04:17.965 --> 00:04:22.914 彼はそれから3年も経たたず亡くなりました アルコール依存症だったとも言われます 00:04:22.914 --> 00:04:24.895 マッカーシズムも終りを告げました 00:04:24.895 --> 00:04:27.743 マッカーシズムは何千とは言わずとも 何百人もの命を奪い 00:04:27.743 --> 00:04:32.134 アメリカの政治的領域を著しく狭めました 00:04:32.134 --> 00:04:35.834 民主主義の機構にもたらした被害は 長く残ることでしょう 00:04:35.834 --> 00:04:39.165 恐らく 民主党と共和党の両方に 00:04:39.165 --> 00:04:43.545 共産主義者の追放は不当であると 知っていた人々がいたはずです 00:04:43.545 --> 00:04:48.415 しかし直接反対をすることによる 失職を恐れていました 00:04:48.415 --> 00:04:51.344 最高裁判所でさえも魔女狩りを止められず 00:04:51.344 --> 00:04:54.454 憲法上の権利の深刻な侵害を 00:04:54.454 --> 00:04:57.334 国家安全という名の下に黙認したのです 00:04:57.334 --> 00:05:01.117 国内の共産主義は米国政府にとって 本当の脅威だったのでしょうか 00:05:01.117 --> 00:05:03.675 多分事実でしょうが 小さな脅威だったでしょう 00:05:03.675 --> 00:05:08.000 しかし共産主義への反応が過激化し 00:05:08.000 --> 00:05:10.350 実際の脅威以上の被害をもたらしました 00:05:10.350 --> 00:05:13.500 いつの日か新しい扇動政治家が現れ 00:05:13.500 --> 00:05:17.626 再び愛国心の名の下に 人気のない少数派を攻撃したとしたら 00:05:17.626 --> 00:05:19.995 同じ結果になるのでしょうか?