友達に相談を持ちかけたのに 相手が問題の重大さを 少しも理解していないと 気づいたことはありませんか? 意見を述べたら その場が大騒ぎになってしまったことは? あるいは口論の最中に 相手に「ちっとも話を聞いていない」と 責められてしまったことは ないでしょうか? 何が起きているのでしょう? 意思の疎通がうまくいっていないのです どんな形であれ 誰しも経験のあることですね それで混乱を招いたり 反感を買ったり 誤解が生じたり あるいは 何百万ドルもかけた 火星探査機がおじゃんになったりします たとえ 相手と同じ部屋で 顔を合わせて 同じ言葉を話していたとしても 人間のコミュニケーションは 非常に複雑なのです でも 幸いコミュニケーションの際に 何が起きているのか 基本的に理解していれば こういった行き違いを 防ぐことができます 研究者は長年コミュニケーションの際 何が起きているのか追求してきました 解釈の1つは「伝達モデル」と呼ばれ コミュニケーションとはメッセージが 相手に直接届くことだと考えます 相手にボールを投げつけて どこかへ行ってしまうのに似ています しかし 実際は この単純なモデルではコミュニケーションの 複雑さを説明できません そこで「交流モデル」の登場です このモデルにはコミュニケーションに関わる 様々な問題が盛り込まれます 人々のコミュニケーションを より正確に考えるための例えが キャッチボールです 相手にメッセージを伝えると 相手から反応が返ってきます この交流を介して 一緒に意味を作り上げます しかし このやり取りによって 更に複雑さが増します スタートレックの世界のように バルカンの精神融合で 考えや気持ちを 完全に共有することはできません 人間がメッセージのやり取りを 行う場合には どうしても自分の主観が入ります 伝える側は あるメッセージに対する 自分なりの解釈を表明し コミュニケーションの相手もまた そのメッセージに自分なりの 解釈を施して受け取ります 私達の知覚フィルターにより 意味や解釈は常に変わっていきます キャッチボールを思い出して下さい ボールを粘土の塊にしてみましょう 各自が触れるたびに 粘土の塊は それぞれ独自の見解に合う形に 変えられます 基準となる変数の種類に限りはなく 知識や過去の経験 年齢、人種、ジェンダー 民族、宗教、家庭環境などが 関わってきます 同時に受け取った側も メッセージの解釈を行いますが その解釈は自分と相手との関係性や 実際に使われた言葉の 語義や言外の意味に対する 独自の理解に基づいています 他の刺激によって 解釈が乱されることもあります 例えば車の音や おなかが鳴る音などです 感情によっても理解力は低下します また それぞれに主観を持つ人々が 会話に加わり 人数が増えれば コミュニケーションの複雑さは 指数関数的に増大します 粘土の塊は2人の間を往復しながら リメイクされたり変形したり 常に変化しているので 時にはメッセージがグチャッとつぶれて 伝わらないのも無理はありません しかし幸い ある簡単な心得を実行すると 誰でも日々のやり取りをうまく乗り切り コミュニケーションを改善できます その1 人の話を上の空で聞くのと 積極的傾聴は違うと認識すること 相手の言語的あるいは 非言語的な反応に積極的に向き合い 自分のメッセージを調整して 理解を深めること その2 聴くときは耳も目も使い さらに直感も使うこと コミュニケーションは 言葉だけではないのです その3 相手に理解してもらうために 時間をかけること あわてて自分のことばかり話すと コミュニケーションが 相互作用であることを忘れがちです 心を開いて相手の言う事を聞きましょう 最後に その4 自分自身の知覚フィルターを 意識すること 文化、コミュニティ、家族など あなたの経験の要素は あなたの物の見方に 影響を与えています 「この問題を私はこう考えるけど あなたはどう?」と言いましょう 自分の見解が客観的事実だとは 考えないことです そうすれば対話を他者と共有でき 相手と一緒に 共通の理解に達することが できるでしょう