WEBVTT 00:00:00.927 --> 00:00:02.642 「どんな人間でありたいか」 00:00:03.317 --> 00:00:05.295 シンプルな問いですね 00:00:05.319 --> 00:00:07.071 自覚していても いなくても 00:00:07.095 --> 00:00:10.360 皆さんは毎日これに 行動を以って答えています 00:00:10.971 --> 00:00:12.666 この問いほど 00:00:12.666 --> 00:00:17.492 社会での成功の鍵を 握るものはありません 00:00:17.516 --> 00:00:21.497 人の目にどう映り 人をどう扱うかが全てだからです 00:00:22.116 --> 00:00:26.238 他人を尊重することによって その人に自分は価値があり 大事にされ 00:00:26.268 --> 00:00:30.282 話も聞いてもらえているという実感を与え 高めてあげるか 00:00:30.939 --> 00:00:35.970 それとも 自分が取るに足りず 侮辱され 軽んじられ 00:00:35.994 --> 00:00:39.872 疎外されていると感じさせ 押さえつけてしまうか 00:00:40.254 --> 00:00:43.955 全て 自分がどういう人間で あろうとするかで決まるのです NOTE Paragraph 00:00:44.631 --> 00:00:47.604 私は「無作法」が人に与える 影響を研究しています 00:00:47.628 --> 00:00:49.313 「無作法」とは 00:00:49.337 --> 00:00:51.615 横柄さや失礼のことです 00:00:51.620 --> 00:00:53.982 無作法にあたる振る舞いは様々で 00:00:54.006 --> 00:00:56.360 人をあざける 軽んじる 00:00:56.384 --> 00:00:58.923 相手を傷つけるような からかい方をする 00:00:58.947 --> 00:01:00.806 不快な冗談を言う 00:01:00.830 --> 00:01:02.639 会議中に携帯をさわるなど 00:01:02.663 --> 00:01:07.057 ある人にとっては無作法でも 別の人には全く問題ないこともあります 00:01:07.364 --> 00:01:10.082 例えば誰かに話しかけられている最中に 携帯をさわるのは 00:01:10.106 --> 00:01:12.268 無礼だと感じる人もいれば 00:01:12.292 --> 00:01:15.147 完全に許容範囲だと 考える人もいるでしょう 00:01:15.171 --> 00:01:16.831 人によって全く異なるのです 00:01:16.855 --> 00:01:21.908 完全に受け取る人次第であり 相手が失礼に感じるかどうかで決まります 00:01:22.748 --> 00:01:25.537 本人はそんなつもりはなくても 00:01:25.561 --> 00:01:28.538 相手にそう感じさせてしまうと いいことはありません NOTE Paragraph 00:01:29.736 --> 00:01:31.630 22年以上前のこと 病院で 00:01:31.654 --> 00:01:35.162 空気のよどんだ病室に入った瞬間を 今でも鮮明に覚えています 00:01:35.901 --> 00:01:41.919 頑丈でたくましく精力的だった父が むき出しの胸に電極をつけられ 00:01:41.943 --> 00:01:45.707 ベッドに横たわる様子は 見るに忍びないほどでした 00:01:46.548 --> 00:01:49.374 父をそこへ追いやったのは 仕事上のストレスでした 00:01:49.973 --> 00:01:52.051 10年以上も 00:01:52.075 --> 00:01:55.435 無作法な上司に 苦しめられていたのです 00:01:57.244 --> 00:02:01.556 あんな無作法な人も珍しいと 当時は思っていました 00:02:02.382 --> 00:02:04.732 しかし 数年もたたないうちに 00:02:04.762 --> 00:02:07.782 私自身も何度となく 無作法の被害を受け 目撃しました 00:02:07.806 --> 00:02:09.540 大学を出て初の就職先でした 00:02:10.441 --> 00:02:12.862 1年間 毎日出社しては 00:02:12.886 --> 00:02:15.227 同僚がこんなことを言うのを 耳にしていました 00:02:15.251 --> 00:02:18.469 「バカじゃないか? そんなやり方があるかよ」とか 00:02:18.493 --> 00:02:21.976 「君の意見を聞いた覚えは ないんだけど」とかです NOTE Paragraph 00:02:22.975 --> 00:02:25.378 当然 私は仕事を辞め 00:02:25.742 --> 00:02:29.895 このような振る舞いの影響を 研究するため 大学院に進みました 00:02:30.337 --> 00:02:33.031 そこでクリスティーン・ピアソンに 出会いました 00:02:33.058 --> 00:02:34.779 クリスティーンの理論は 00:02:34.779 --> 00:02:39.146 些細な無作法から いっそう深刻な問題が 生まれることもあるというものでした 00:02:39.156 --> 00:02:41.488 攻撃性や暴力といった問題です 00:02:41.758 --> 00:02:45.730 無作法が業績や収益に 悪影響を及ぼすという考えの下 00:02:45.760 --> 00:02:49.741 私たちは研究を始め 目から鱗な結果が出ました NOTE Paragraph 00:02:50.383 --> 00:02:53.477 ビジネススクールを卒業し 様々な組織で働いている人々に 00:02:53.497 --> 00:02:55.292 調査アンケートを送り 00:02:55.312 --> 00:02:57.967 失礼な扱いや 敬意に欠ける扱い 00:02:57.991 --> 00:03:01.005 または無神経な扱いを 受けた時のことについて 00:03:01.029 --> 00:03:03.463 数行書いてもらい また 00:03:03.473 --> 00:03:06.739 その時どう反応したかに関する 質問にも答えてもらいました 00:03:08.621 --> 00:03:12.277 ある人は上司にこんな風に けなされたそうです 00:03:12.287 --> 00:03:14.258 「幼稚園児でもできる仕事だぞ」 00:03:14.702 --> 00:03:19.278 部下の作った書類をチーム全員の前で 破り捨てた上司の話もありました 00:03:19.751 --> 00:03:24.156 そして 無作法は相手のやる気を削ぐ ということがわかりました 00:03:24.180 --> 00:03:27.419 回答者の66%は以前よりも 努力をしなくなり 00:03:27.443 --> 00:03:30.462 80%はその出来事を引きずって 時間を無駄にし 00:03:30.486 --> 00:03:33.482 12%は会社を辞めたのでした NOTE Paragraph 00:03:34.506 --> 00:03:38.177 調査結果を発表した後 2つのことが起こりました 00:03:38.201 --> 00:03:40.892 1つは会社組織からの問い合わせです 00:03:41.503 --> 00:03:45.391 シスコはこの結果を見て そのほんの一部を取り上げ 00:03:45.405 --> 00:03:47.849 同社は控えめに見積もっても 無作法により 00:03:47.873 --> 00:03:51.112 年1200万ドル相当の損失を 被っていると導き出しました NOTE Paragraph 00:03:51.931 --> 00:03:56.701 もう1つは 同じ分野の研究者たちに 00:03:56.725 --> 00:04:01.369 「回答は自己申告だ どうやって証明するのか 00:04:01.393 --> 00:04:04.101 本当に仕事に支障が出るのか」と 言われたことです 00:04:04.611 --> 00:04:08.473 私も興味があったので アミーラ・エレズの協力を得て 00:04:08.493 --> 00:04:11.112 無作法を受けた人と 00:04:11.132 --> 00:04:14.088 受けなかった人を比較しました 00:04:14.112 --> 00:04:17.791 すると 無作法を受けた人は そうでない人に比べ 00:04:17.815 --> 00:04:20.748 仕事に大きな支障が出るということが 判明しました NOTE Paragraph 00:04:21.381 --> 00:04:23.983 「まあ もっともなことだ」と 仰るかもしれません 00:04:24.007 --> 00:04:27.422 「仕事に支障が出るのは 当然のことだろうね」と 00:04:28.394 --> 00:04:31.567 では 当事者以外は どうなのでしょう? 00:04:32.082 --> 00:04:34.284 見聞きしただけの場合は? 00:04:34.775 --> 00:04:36.356 つまり 目撃者です 00:04:36.380 --> 00:04:39.020 目撃者も影響を受けるのか 気になりました NOTE Paragraph 00:04:39.629 --> 00:04:41.080 そこで研究を行いました 00:04:41.104 --> 00:04:44.701 遅れてきた人に対して 実験者が失礼な態度を取る様子を 00:04:44.725 --> 00:04:47.178 被験者5名が 目撃するというものです 00:04:47.548 --> 00:04:49.176 実験者はこう言いました 00:04:49.206 --> 00:04:52.684 「君 おかしいだろう 遅刻なんかして 無責任だ 00:04:52.708 --> 00:04:55.974 恥ずかしくないのか 社会人失格じゃないかね」 00:04:56.898 --> 00:04:59.269 他にも 少人数のグループで 00:04:59.293 --> 00:05:02.702 あるメンバーが別のメンバーをけなすと どうなるかを調べました 00:05:03.442 --> 00:05:05.825 すると非常に面白い結果が出ました 00:05:05.849 --> 00:05:08.517 目撃者の仕事の質も下がり 00:05:08.541 --> 00:05:12.311 しかも ちょっとどころではなく かなり下がったのです NOTE Paragraph 00:05:14.129 --> 00:05:16.025 無作法は風邪のようなもので 00:05:16.516 --> 00:05:18.197 伝染するのです 00:05:18.221 --> 00:05:22.062 皆 その周りにいるだけで 保菌者となってしまいます 00:05:22.525 --> 00:05:25.112 仕事場だけの話ではありません 00:05:25.136 --> 00:05:27.657 このウィルスは場所を選ばず 00:05:27.681 --> 00:05:32.133 家庭やネット上 学校や 地域社会でも感染します 00:05:33.069 --> 00:05:37.588 私たちの感情 やる気 仕事の質 そして他人への接し方に 00:05:37.612 --> 00:05:38.975 影響を及ぼします 00:05:39.531 --> 00:05:43.314 集中力に支障をきたしさえしますし 思考力も低下します 00:05:44.283 --> 00:05:47.859 さらに この現象は 無作法を受けたり 00:05:47.883 --> 00:05:49.428 目撃していなくても 00:05:49.452 --> 00:05:53.267 無礼な言葉を目にするだけで 起こりうるのです 00:05:54.029 --> 00:05:56.059 例を挙げて説明しましょう NOTE Paragraph 00:05:57.424 --> 00:06:00.523 被験者に単語のリストを与え 00:06:00.547 --> 00:06:02.138 文を作ってもらいました 00:06:02.591 --> 00:06:04.318 しかし 実は裏があって 00:06:04.850 --> 00:06:10.333 被験者の半分は無礼さを連想させる 15単語を含むリストを与えられました 00:06:10.357 --> 00:06:14.851 「無神経にも」「邪魔する」 「不愉快」「迷惑」などです 00:06:15.354 --> 00:06:18.129 もう半分の被験者が与えられた 単語リストには 00:06:18.153 --> 00:06:20.379 そういった言葉は ひとつもありません 00:06:20.890 --> 00:06:23.714 そうして出た結果は衝撃的でした 00:06:23.738 --> 00:06:26.138 無礼さを連想させる単語を 与えられた人は 00:06:26.162 --> 00:06:29.607 パソコン画面に表示された 目の前の情報を見逃す確率が 00:06:29.627 --> 00:06:31.854 5倍にもなったのです 00:06:32.671 --> 00:06:34.741 研究を続けた結果 00:06:34.765 --> 00:06:38.121 無礼さを連想させる単語を 目にした人のほうが 00:06:38.145 --> 00:06:41.873 意思決定や 回答の記録が遅かったうえに 00:06:41.897 --> 00:06:44.414 ミスも著しく多かったのです 00:06:45.203 --> 00:06:47.035 特に 生死を分ける状況では 00:06:47.035 --> 00:06:50.352 一大事につながることもあります NOTE Paragraph 00:06:50.887 --> 00:06:54.646 医師のスティーブが 同僚の医師について教えてくれました 00:06:54.670 --> 00:06:56.396 いつも横柄な態度で 00:06:56.420 --> 00:06:59.326 目下の職員や看護師に対しては 特にひどかったそうです 00:06:59.341 --> 00:07:00.808 ある時 この医師が 00:07:00.808 --> 00:07:05.462 医療チームを怒鳴りつける ということがありました 00:07:06.544 --> 00:07:08.337 そして その直後に 00:07:08.361 --> 00:07:11.998 チームは患者への投薬量を 間違えてしまいました 00:07:13.289 --> 00:07:17.014 正しい情報は目の前の図表に 書いてあったのに 00:07:17.044 --> 00:07:20.387 どういうわけかチーム全員が 見過ごしてしまったのでした 00:07:21.307 --> 00:07:24.960 集中力や状況把握力に欠けていて 情報を素通りしてしまったらしいのです 00:07:25.698 --> 00:07:27.322 単純なミスだと思いますよね 00:07:27.703 --> 00:07:29.354 ところが患者は亡くなりました NOTE Paragraph 00:07:30.412 --> 00:07:33.534 また イスラエルの研究者が 実証したのですが 00:07:33.564 --> 00:07:37.197 無礼な振る舞いが起こった場に 居合わせた医療チームは 00:07:37.217 --> 00:07:39.900 診断行為はおろか 医療処置の質まで 00:07:39.930 --> 00:07:41.796 ことごとく下がったのです 00:07:42.487 --> 00:07:45.775 主な原因は 無礼な言動に 遭遇した医療チームが 00:07:45.799 --> 00:07:48.227 情報の共有に消極的になり 00:07:48.251 --> 00:07:51.104 仲間に協力を 求めなくなったためでした 00:07:51.128 --> 00:07:55.010 医療の場だけでなく あらゆる業界で起こっていることです NOTE Paragraph 00:07:56.511 --> 00:07:59.569 では 無作法がそこまで有害ならば 00:07:59.589 --> 00:08:02.148 なぜ未だに こんなにも 蔓延しているのでしょうか 00:08:02.546 --> 00:08:05.580 疑問に思ったので これについても調査しました 00:08:06.028 --> 00:08:08.828 最大の原因はストレスです 00:08:08.848 --> 00:08:10.669 心に余裕がないのです 00:08:11.709 --> 00:08:14.522 人々に礼儀が足りない もう1つの理由は 00:08:14.532 --> 00:08:17.326 礼儀正しく 感じ良く 振る舞うことに疑問を覚え 00:08:17.350 --> 00:08:19.980 むしろ問題だとさえ捉えているからです 00:08:20.004 --> 00:08:22.527 そんな態度では リーダーらしく見えないのではとか 00:08:22.551 --> 00:08:25.627 「お人好しは損をする」 などと思っているのです 00:08:25.882 --> 00:08:28.976 「嫌なやつが出世する」 とも言いますね 00:08:29.000 --> 00:08:30.303 (笑) 00:08:31.088 --> 00:08:32.576 無理もない考え方です 00:08:32.600 --> 00:08:35.439 それを体現したような 一部の人たちの話ばかりが 00:08:35.459 --> 00:08:37.515 日々の話題に上るとすれば なおさらです NOTE Paragraph 00:08:38.466 --> 00:08:41.343 でも 長期的視点では 結果は逆なのです 00:08:42.013 --> 00:08:45.103 センター・フォー・クリエイティブ・ リーダーシップ在籍当時の 00:08:45.113 --> 00:08:48.702 モーガン・マッコールと マイケル・ロンバルドによる 00:08:48.726 --> 00:08:53.535 綿密な研究で明らかになった 「経営陣が犯す最大の過ち」とは 00:08:53.559 --> 00:08:57.198 無神経で 心ない 高圧的な態度を 取ることでした 00:08:58.428 --> 00:09:02.658 無礼な言動にかかわらず 例外的に成功する人はどこにでもいます 00:09:02.678 --> 00:09:04.381 しかし 遅かれ早かれ 00:09:04.405 --> 00:09:07.464 無作法な人々のほとんどには ツケが回ってきます 00:09:08.077 --> 00:09:10.164 無作法な経営者の場合 00:09:10.174 --> 00:09:13.282 弱い立場に置かれたときや 何かを必要とするときに 00:09:13.306 --> 00:09:14.687 報いを受けます 00:09:14.717 --> 00:09:16.693 誰も力になってくれないでしょう NOTE Paragraph 00:09:17.795 --> 00:09:19.716 では いい人の場合は? 00:09:19.740 --> 00:09:21.389 礼儀正しい人は報われるのか? 00:09:21.413 --> 00:09:23.240 そうなのです 00:09:23.803 --> 00:09:28.264 あと 礼儀正しさとは 嫌な人でないというだけではありません 00:09:28.288 --> 00:09:32.152 人を押さえつけないことと 高めてあげることは別物です 00:09:32.605 --> 00:09:35.840 真に礼儀正しい人は 些細なことに気を使います 00:09:35.864 --> 00:09:38.914 笑いかけたり 廊下で挨拶したり 00:09:38.938 --> 00:09:41.821 人の話にしっかりと 耳を傾けたり などです 00:09:42.170 --> 00:09:44.291 自分の意見を 曲げる必要はありません 00:09:44.315 --> 00:09:47.988 人と対立したり 反対意見を言ったり 批判してもいい 00:09:48.008 --> 00:09:50.846 敬意をもって 礼儀正しく 接すればいいのです 00:09:50.870 --> 00:09:53.282 「徹底的な率直さ」とも 呼ばれる態度です 00:09:53.306 --> 00:09:54.794 相手個人を思いやりながら 00:09:54.818 --> 00:09:56.739 率直に批判することです 00:09:57.572 --> 00:10:00.025 そう 礼儀正しさは報われるのです 00:10:00.404 --> 00:10:03.369 生命工学の会社で 同僚と共に発見したのは 00:10:03.393 --> 00:10:05.468 礼儀正しい印象を与える人は 00:10:05.492 --> 00:10:08.129 人の2倍 リーダー視される傾向があり 00:10:08.153 --> 00:10:10.451 仕事の質も著しく高いことです 00:10:11.066 --> 00:10:13.043 礼儀正しさが報われるという理由は 00:10:13.067 --> 00:10:17.815 重要人物 そして影響力を持つ人物に 見られるからです 00:10:17.839 --> 00:10:21.542 主要な特質が2種類入った 珍しい組み合わせです 00:10:21.566 --> 00:10:24.871 「温かく かつ有能な人」 「親しみやすく かつ頭のいい人」 00:10:25.184 --> 00:10:29.684 言い方を変えると 礼儀正しさとは 他人の意欲を引き出すだけの話ではなく 00:10:29.708 --> 00:10:31.348 自分の評価にも関わるのです 00:10:31.583 --> 00:10:35.150 礼儀正しい人ほど リーダー視される傾向にあり 00:10:35.174 --> 00:10:38.617 仕事の質も高く 温かく有能であると見られます NOTE Paragraph 00:10:39.722 --> 00:10:43.430 しかし 礼儀正しさの恩恵は さらに広い次元に及び 00:10:43.454 --> 00:10:47.472 リーダーシップに関連する 最も重要な問いのひとつに直結します 00:10:48.234 --> 00:10:51.120 人々がリーダーに 一番求めているものは何か です 00:10:51.933 --> 00:10:55.706 世界各地の社会人 2万人からデータを集めたところ 00:10:55.730 --> 00:10:57.735 答えはシンプルでした 00:10:58.823 --> 00:11:00.145 「敬意」です 00:11:00.711 --> 00:11:03.917 認められることや 感謝されることよりも 00:11:03.941 --> 00:11:06.437 有用なフィードバックや 学びの機会よりも 00:11:06.461 --> 00:11:08.016 敬意を込めた扱いのほうが 00:11:08.040 --> 00:11:10.177 重要であるという結果でした 00:11:10.605 --> 00:11:12.866 敬意を受けていると 感じる人のほうが 00:11:13.006 --> 00:11:15.781 健康的で 懸命に働き 00:11:15.805 --> 00:11:18.311 組織に留まる可能性が高く 00:11:18.335 --> 00:11:20.373 業務に能動的に携わるのです NOTE Paragraph 00:11:22.123 --> 00:11:24.049 では どこから始めましょう 00:11:24.089 --> 00:11:27.859 人を高め 敬意を感じられるように してあげるにはどうしたらいいでしょう 00:11:28.301 --> 00:11:31.478 ありがたいことに 大きな方向転換は必要ありません 00:11:31.977 --> 00:11:34.653 ちょっとしたことで 大きな違いを生み出せます 00:11:35.108 --> 00:11:37.766 私自身が実感したのは お礼を言ったり 00:11:37.790 --> 00:11:39.256 成果を共有したり 00:11:39.280 --> 00:11:41.012 しっかり話を聞いてあげたり 00:11:41.663 --> 00:11:43.986 謙虚な態度で質問したり 00:11:44.006 --> 00:11:46.831 相手の存在を認め 笑いかけたりすると 00:11:46.855 --> 00:11:48.343 効果があるということです NOTE Paragraph 00:11:49.497 --> 00:11:53.232 オシュナー・ヘルスシステムの 前CEOパトリック・クウィンランが 00:11:53.256 --> 00:11:56.383 同社が実践する「10-5の法則」の 効果について語ってくれました 00:11:56.393 --> 00:11:59.655 誰かの10フィート(3メートル) 圏内に入ったら 目を合わせ 00:11:59.675 --> 00:12:01.069 にっこりします 00:12:01.093 --> 00:12:04.082 5フィート(1.5メートル) 圏内で挨拶します 00:12:04.631 --> 00:12:07.381 この礼儀正しさが社内に広まり 00:12:07.405 --> 00:12:09.811 患者の満足度が上がり 00:12:09.835 --> 00:12:12.031 他の患者への紹介も増えたそうです NOTE Paragraph 00:12:12.846 --> 00:12:17.232 礼儀正しさと敬意は 組織の業績向上に役立ちます 00:12:17.748 --> 00:12:23.556 友人のダグ・コナントが2001年に キャンベルスープ社のCEOを引き継いだ時 00:12:23.580 --> 00:12:26.507 同社の市場占有率は 半分に減ったばかりでした 00:12:26.531 --> 00:12:28.206 売り上げは落ち込み 00:12:28.230 --> 00:12:30.839 たくさんの従業員が 一時解雇されたばかりで 00:12:30.863 --> 00:12:34.687 ギャラップ社の担当者が これまで調査した会社の中でも 00:12:34.711 --> 00:12:36.887 社員の熱意は最低だと 報告したほどでした 00:12:36.899 --> 00:12:39.894 ダグが就任初日に出社すると 00:12:39.918 --> 00:12:43.892 本社の周辺に張り巡らされている 鉄条網が目に入りました 00:12:44.313 --> 00:12:46.894 駐車場には 監視塔までありました 00:12:47.695 --> 00:12:51.412 まるで軽警備の刑務所のよう だったそうです 00:12:51.436 --> 00:12:53.487 不健全な空気だった と NOTE Paragraph 00:12:54.681 --> 00:12:57.801 ダグは5年で 状況を逆転させました 00:12:58.122 --> 00:13:01.740 そして9年で 同社は 史上最高の業績を更新し続け 00:13:01.764 --> 00:13:04.719 「働きたい企業 第1位」など 次々に賞を獲得しました 00:13:05.429 --> 00:13:06.852 ダグがとった方法は 00:13:07.376 --> 00:13:09.843 まず初日に 従業員たちに 00:13:09.867 --> 00:13:12.398 自分が掲げる業績目標は高いが 00:13:12.408 --> 00:13:14.643 礼儀正しさを以って 達成するのだと語りました 00:13:14.667 --> 00:13:17.893 それを自分でも実践し 配下のリーダーたちにも求めました 00:13:18.805 --> 00:13:20.974 ダグにとってそれは 00:13:20.974 --> 00:13:25.428 「仕事に厳しく 人には優しく」の 姿勢に尽きるということでした 00:13:26.119 --> 00:13:29.256 また 全てが「接点」次第である— 00:13:29.266 --> 00:13:32.563 つまり従業員との 日々の関わり方にかかっており 00:13:32.587 --> 00:13:36.517 その場が 廊下であれ 食堂であれ 会議であれ同じことだと 00:13:36.984 --> 00:13:39.742 ダグが 接点ごとに 毎回うまく対応すれば 00:13:39.766 --> 00:13:42.344 従業員は自分の価値を認められていると 感じるわけです NOTE Paragraph 00:13:42.949 --> 00:13:46.604 他にも 従業員たちに 重要感を持たせ 00:13:46.628 --> 00:13:49.024 一人一人を見ているのだと示すため 00:13:49.048 --> 00:13:54.411 ダグは従業員宛ての感謝状を 3万通以上 手書きしました 00:13:54.949 --> 00:13:57.290 これが他のリーダーたちの 手本となりました 00:13:58.456 --> 00:14:02.141 リーダーには このような接点が 1日400回程度あります 00:14:02.165 --> 00:14:05.513 大多数の接点は時間を取りません 1回2分以内です 00:14:05.537 --> 00:14:09.844 大事なのは毎回毎回 機転をきかせ 心を配ることです NOTE Paragraph 00:14:10.933 --> 00:14:12.663 礼儀正しさは相手を高めます 00:14:13.169 --> 00:14:15.268 その人がさらに貢献し 00:14:15.268 --> 00:14:17.876 ベストの状態で働けるよう促します 00:14:18.478 --> 00:14:21.675 無作法は 周りや周りのパフォーマンスを 蝕んでいきます 00:14:21.699 --> 00:14:23.960 無作法が起こっている場にいるだけでも 00:14:23.984 --> 00:14:26.069 その人の可能性を奪ってしまいます 00:14:27.001 --> 00:14:31.289 私が自分の研究から理解しているのは 人々が礼儀正しく振る舞う環境であるほど 00:14:31.313 --> 00:14:36.769 生産性や創造性 そして 親切度や幸福度や健康度が向上します NOTE Paragraph 00:14:37.428 --> 00:14:38.868 改善は可能です 00:14:39.479 --> 00:14:42.487 私たち一人一人が もっと心を配り 00:14:42.511 --> 00:14:46.081 周りの人を高めてあげられるよう 行動に移せばいいのです 00:14:46.105 --> 00:14:49.393 それが職場であれ 家庭であれ オンラインであれ 00:14:49.417 --> 00:14:50.571 学校であれ 00:14:50.585 --> 00:14:52.268 地域社会であれ同じです 00:14:52.943 --> 00:14:55.472 一回一回のやりとりごとに 考えてみてください 00:14:55.799 --> 00:14:57.766 「私はどんな人間でありたいのだろうか」 NOTE Paragraph 00:14:58.419 --> 00:15:00.932 無作法の蔓延に終止符を打ち 00:15:00.956 --> 00:15:02.920 礼儀正しさを広めていきましょう 00:15:03.304 --> 00:15:05.647 きっと実を結ぶはずです NOTE Paragraph 00:15:06.219 --> 00:15:07.384 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:07.408 --> 00:15:09.928 (拍手)