TOMER SHARON こんにちは。私はTOMER SHARONといいます。 Googleサーチでユーザー体験の研究をしていて、 「リーンユーザーリサーチ」という本を書きました。 今日は、お客様やユーザー、 そして見込み客に上手な質問をして、 より良い回答を引き出す方法をお話しします。 「トークショーのホストのような会話力、作家のような思考力、 精神科医のような洞察力、 音楽家のような耳を持つこと」 インタビューについて語られた素敵な言葉です。 インタビューというのは、 対話を通じて情報を集めることです。 でも、インタビューを始める前に、 質問の仕方を考える前に、 なぜインタビューするのかを考えましょう。 その場にいる目的は何か、 何を学びたいのかを明確にします。 インタビューで重要なのは、 「合理化」という現象を 理解することです。 合理化というのは、 過去の出来事について質問されたとき、 自分をいい人間に見せようとして、 賢く見せようとして、 現実を少し変えてしまうことです。 例を挙げましょう。 誰も見てないときにバナナの皮を床に捨てますか? きっと「捨てません。 そんなことする人間じゃありません」と答えるでしょう。 でも実際に誰もいない状況になったら、 2週間後には捨ててしまうかもしれない。 悪い人だからじゃなく、 うそをついているわけでもなく、 信念に反しているわけでもありません。 合理化しているんです。 いい人に見られたい、 役に立つ人間だと思われたいんです。 インタビューで質問するときは、 体験談を引き出しましょう。 これが一番大切なポイントです。 実際に起きた出来事について聞いてください。 行動について聞いてください。 例えば、ある状況で、 黙って相手の話に耳を傾けます。 できれば、実際の行動を見せてもらうのが一番です。 メールの読み方を聞くなら、 実際にやってもらいましょう。 「どうやるか見せてください」と。 認識についても聞きます。 認識自体が重要なんじゃなく、 体験談を引き出すのに 役立つからです。 「XとYの違いは?」という質問。 一見つまらない質問に見えますが、 何か面白い体験を 思い出すきっかけになるかもしれません。 インタビューで最も重要なのは、 一見目立たないものです。 追加質問です。 本当に何が起きたのか、 深い理解が得られます。 「なぜ目を回したんですか?」 「どういう意味ですか?」 「なぜスマホを第三の腕って呼ぶんですか?」 こういう質問で行動の本質が見えてきます。 次は避けるべきことです。 将来のことを聞かないでください。 プロダクト開発者がよくする 質問が3つあります。「この製品使いますか?」 「お金払いますか?」 「いくら払いますか?」 こういう質問は最悪です。 なぜか? 未来の予測を求めているからです。 実は誰にもわからないんです。 もっと問題なのは、 わかったつもりで答えてしまうことです。 もう一つ避けたいのが、誘導尋問です。 自分の意見を質問に混ぜて、 相手に望む答えを誘導するような 質問は 避けましょう。 威圧的な態度もダメです。 座っている人の後ろに立って 質問するのは、 威圧的な態度です。 やめましょう。 答え方に影響してしまいます。 質問の説明もしないでください。 黙って待ちましょう。 質問をしたとき、 沈黙が続くことがあります。 考えているのかもしれません。 何か思い出そうとしているのかも。 質問の意味がわからないのかもしれません。 待ちましょう。 つい説明したくなりますが、 やめましょう。 数秒待ってみてください。 相手が自然と話し始めます。 最後に、フィードバックを求めないこと。 これもよくある間違いです。 開発者がインタビューでよくやることです。 製品の説明や紹介をして、 感想を求めるんです。 製品があるなら、使ってもらいましょう。 モックでも、使ってもらうんです。 鉛筆でもいいから使ってみてもらう。 最後に、誘導質問についてです。 簡単な練習をしましょう。 いくつかの質問を見て、 誘導的かどうか考えてみましょう。 それぞれ見ていきます。 まず一つ目。 「現行版と、この改良版の どちらを使いたいですか?」 「改良版」という言葉自体が、 あなたの意見を含んでいて、望む答えに 誘導してしまいます。 「今のNetflixと比べてどうですか?」 これはNetflixへの印象で誘導してしまいます。 良いにせよ悪いにせよ、中立でない答えに 誘導することになります。 他と比較せずに 質問するようにしましょう。 「どう思いましたか?」 こう聞くと、相手は 考えてもいなかったことを 無理に考えることになります。 避けましょう。 「ここをクリックしてログインしますか?」 これは「ここをクリックしてログインして」と 言うのと同じです。 かなり誘導的な質問です。 「ここの何が問題ですか?」 これも、問題があるという 前提を押しつけて、相手に そう答えさせようとしています。 質問の仕方について、おすすめの資料が 3つあります。 本と記事と動画です。 本はスティーブ・ポーティガルの「Interviewing Users」。 記事は「16 Interviewing Tips」で、 Google VenturesのMichael Margolisが書いています。 動画は「What People Are Really Doing」で IITのInstitute of Designが制作しています。 最後にまとめます。 ストーリーを探しましょう。 行動について聞きましょう。 できれば、行動を観察させてもらいましょう。 フォローアップの質問が非常に重要です。 将来のことは聞かない。 誘導的な質問はしない。 フィードバックは求めない。 その代わり、良い質問をしましょう。 ありがとうございました