0:00:06.980,0:00:11.967
アステカの神々の中で最も弱く 病気がちで[br]吹き出物に覆われた神ナナワトル は

0:00:11.967,0:00:14.589
新しい世界を造る神として選ばれました

0:00:14.589,0:00:19.337
既に世界が４度 創られており[br]各々の「太陽神」によって始動され

0:00:19.337,0:00:21.960
いずれも順に破壊されていきました

0:00:21.960,0:00:25.005
はじめの世界はジャガーにより[br]次の世界は風により

0:00:25.005,0:00:28.800
その次の世界は空から降り注ぐ火により [br]４つ目の世界は洪水により破壊されました

0:00:28.800,0:00:30.549
５つ目の太陽を掲げるため

0:00:30.549,0:00:33.142
ケツァルコアトル またの名を[br]「羽毛ある蛇」は

0:00:33.142,0:00:36.796
冥界に行き[br]前の世界の人々の骨を手にして帰還し

0:00:36.796,0:00:40.031
新たな命を創るため[br]自らの血で活力を吹き込みました

0:00:40.031,0:00:41.969
しかし 人々の住める世界を造るには

0:00:41.969,0:00:46.420
他の神が偉大な焚き火に飛び込み[br]５つ目の太陽になる必要がありました

0:00:46.420,0:00:51.370
原初神と火の神は[br]この任務にナナワトルを選び

0:00:51.370,0:00:54.205
雨の神と四方の神は

0:00:54.205,0:00:59.045
誇り高く 金持ちなテクシステカトルを[br]捧げることとしました

0:00:59.045,0:01:03.305
まず 選ばれた者たちは４日間の絶食と[br]放血の儀式を行わなければなりませんでした

0:01:03.305,0:01:06.946
ナナワトルは血を流し出すものとして[br]サボテンの針しかなく

0:01:06.946,0:01:09.363
貢物の赤い血を塗るのに[br]モミの枝しかありませんでしたが

0:01:09.363,0:01:11.483
最善を尽くしました

0:01:11.483,0:01:14.871
一方でテクシステカトルといえば[br]自らの富を見せびらかし

0:01:14.871,0:01:20.063
豪華な縁紅弁慶の棘と[br]ケチャールの虹色の羽根で飾られた枝を

0:01:20.063,0:01:22.028
自らの血を捧げるのに用いました

0:01:22.028,0:01:25.314
４日が過ぎたとき[br]炎は燃え上っていました

0:01:25.314,0:01:28.954
誇り高いテクシステカトルは[br]炎に４度近づき

0:01:28.954,0:01:31.515
恐れて４度引き下がりました

0:01:31.515,0:01:33.593
謙遜なナナワトルが前に出ました

0:01:33.593,0:01:37.104
他の神々が彼を真っ白に塗り[br]羽根を彼の体に貼り付けました

0:01:37.104,0:01:40.281
躊躇なく [br]自ら炎に飛び込みました

0:01:40.281,0:01:43.190
鷹が 炎へと舞い降り[br]炎で黒焦げになりながらも

0:01:43.190,0:01:46.253
ナナワトルを掴み[br]空へと連れて行きました

0:01:46.253,0:01:49.042
そこで 原初神とその妻は[br]彼を入浴させ

0:01:49.042,0:01:53.012
羽根で飾られた王座に座らせ[br]頭に赤い帯を巻きつけました

0:01:53.012,0:01:54.567
ナナワトルに触発され

0:01:54.567,0:01:59.602
テクシステカトルは炎の後に残った[br]冷たい灰へ身を投げました

0:01:59.602,0:02:05.402
ジャガーは炉を飛び越えましたが[br]テクシステカトルを空に連れて行けませんでした

0:02:05.402,0:02:10.026
テクシステカトルが地平線へ達したとき[br]女神が集まって彼にぼろきれを着させました

0:02:10.026,0:02:13.721
それでも 彼はナナワトルと[br]同じぐらい輝きました

0:02:13.721,0:02:17.293
しかし 彼はより臆病で [br]まして高慢であったため

0:02:17.293,0:02:20.816
神々の１人がウサギを[br]持ち上げて顔に投げ

0:02:20.816,0:02:22.674
光を薄暗くしました

0:02:22.674,0:02:25.564
しかし ５つ目の世界は[br]まだ完全にはなっていませんでした

0:02:25.564,0:02:28.805
太陽神であるナナワトルは[br]動いた他の太陽たちとは異なり

0:02:28.805,0:02:32.387
じっと動かずに[br]４日間ずっと照らし続けました

0:02:32.387,0:02:36.286
神々は自らの地であるテオティワカンで[br]心配し始めていました

0:02:36.286,0:02:39.791
彼らは黒曜石の鷹を上空へ遣わし[br]何が問題なのか尋ねました

0:02:39.791,0:02:44.313
ナナワトルは 自らを犠牲にして[br]太陽神となったが

0:02:44.313,0:02:47.366
空を動くためには[br]今度は他の神々の養いの血が

0:02:47.366,0:02:49.615
必要だと返事しました

0:02:49.615,0:02:55.277
この提案に激怒した明星の神は[br]立ち上がり 太陽神に矢を放ちました

0:02:55.277,0:02:56.581
太陽神は射返すと

0:02:56.581,0:02:59.700
ケツァールの羽根の矢が[br]明星の神の顔に命中し

0:02:59.700,0:03:01.493
彼を霜に変えてしまいました

0:03:01.493,0:03:03.549
別の神が早まった行動をする前に

0:03:03.549,0:03:06.984
神々は互いに向き合って[br]何をすべきか話し合いました

0:03:06.984,0:03:10.024
むろん 誰も自らを犠牲に[br]したくはなく

0:03:10.024,0:03:12.712
かといって 明星の神のような[br]行動もとりたくかったのです

0:03:12.712,0:03:16.909
とはいえ ナナワトルは[br]地球を養うために責任を果たしのだから

0:03:16.909,0:03:19.451
その見返りとして 養いの血を[br]拒絶するのはどうだろうか？

0:03:19.451,0:03:22.152
神々は あの弱虫の[br]テクシステカトルでさえ

0:03:22.152,0:03:25.587
最終的に ナナワトルの勇気を[br]見習ったことを思い出しました

0:03:25.587,0:03:29.772
ついに ５人の神が[br]自らを犠牲にすることに同意しました

0:03:29.772,0:03:34.060
１人ずつ 死の神が[br]黒曜石のナイフで心臓を突き刺し

0:03:34.060,0:03:36.998
新たな太陽神に 神々の体を捧げました

0:03:36.998,0:03:39.049
最後の神が犠牲を払ったとき

0:03:39.049,0:03:42.948
ケツァルコアトルが[br]偉大な炎の燃えさしを蘇らせ

0:03:42.948,0:03:45.688
やっと太陽が空を動き始め

0:03:45.688,0:03:48.232
第５世代が到来しました

0:03:48.232,0:03:52.242
吹き出物で覆われた弱々しい神の[br]不屈の精神が 他の全ての神々を鼓舞し

0:03:52.242,0:03:54.465
太陽は空は日々の軌道で動き

0:03:54.465,0:03:57.675
ウサギの顔をした月が[br]その後を倣うのです