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プレーヤーが物語を紡ぐビデオゲーム

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    物語の語り方は
    自然と変わってきています
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    アリストテレスが
    悲劇とは何かを定義して以来
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    およそ2千5百年の間にです
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    彼によれば
    物語を語ることの役割とは
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    人の生き様を再現することで
    聞き手に感情を呼び起こすというものでした
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    ご承知のとおり
    以来 物語はその役割を
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    非常によく果たしてきました
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    しかし 人生には
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    物語には決して
    真に再現しえない側面があります
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    それは 選択するということです
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    選択は 日々生きていく上で
    とても重要なものです
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    私たち 1人1人は
    自らの選択によって特徴づけられています
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    私たちが行う選択の中には
    非常に重大な結果をもたらし
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    その後の人生を
    一変させるものもあります
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    しかし 演劇や小説 映画の中では
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    登場人物は 作者があらかじめ決めた
    選択をするだけで
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    聞き手たる私たちは
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    その作者の選択がもたらす結末を
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    なす術もなく
    ただ見守ることしかできません
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    私が 物語の作り手として
    ずっと惹かれてきた考えがあります
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    それはフィクションの分野で
    この選択のあり方を再創造することです
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    聞き手が 主人公の立場に立って
    自ら選択を行い
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    そうすることで
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    自分なりの物語を語れるようにする
    それが私の夢でした
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    これを実現するため
    私は この20年を捧げてきました
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    今日 皆さんには この新しい
    物語の語り方をご紹介したいと思います
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    本質的にインタラクティブな語りです
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    その背後にある理論を
    ご披露しても良いのですが
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    抽象的なところもあり
    おそらく少々退屈でもありますから
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    ちょっと実演をしてみましょう
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    TEDの会場にお越しの皆さんに
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    実際に皆さん独自の物語を
    語っていただきたいと思います
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    インタラクティブなシーンを用意しましたので
    一緒にプレーしましょう
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    ヴィッキーが―
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    ヴィッキー よろしく―
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    私たちの代わりに
    主人公を操作してくれますので
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    ここにいる皆さんは
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    選択をしてください
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    どんなことが起こるのか
    ヴィッキーも私も知りません
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    すべては 皆さんの選択に
    かかっているのですから
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    こちらは『Detroit: Become Human』
    という新作の1シーンです
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    舞台は近未来で
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    技術の進展により
    人間と同じ姿かたちの
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    アンドロイドが作れるように
    なった世界です
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    私たちは こちらの
    コナーという登場人物になります
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    彼はアンドロイドで
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    さっきのように器用に
    硬貨を操ることもできます
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    胸に青い三角形の印がありますが
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    これは すべてのアンドロイドに
    付けられているものです
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    では ヴィッキーに
    操作してもらいましょう
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    歩き回って どこにでも行け
    ぐるっと見渡したり
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    周囲にあるものと
    触れ合ったりもでき
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    さまざまな選択をすることで
    自分なりの物語ができるのです
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    さあ ここで最初の選択です
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    魚が地面に落ちていますね
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    どうしますか?
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    助けるか 放っておくか?
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    時間は限られています
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    早く決めなければいけません
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    どうしますか?
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    (聴衆)助ける!
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    (ケージ)助ける? 魚を助けるんですね?
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    (ポチャンという音)
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    (ケージ)はい 助けました
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    動物好きのアンドロイドですね
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    先に進みましょう
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    今 人質事件が起きています
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    (女性)お願い 娘を助けて!
  • 3:51 - 3:55
    え アンドロイドなの?
  • 3:55 - 3:57
    (職員)さあ 行きますよ
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    (女性)ひどいわ
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    なんで本物の人間を寄こさないのよ
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    (ケージ)彼女はご不満なようですね
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    娘がアンドロイドに
    人質に取られていますから
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    当然 ショック状態にあるんです
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    では この建物の探索を続けましょう
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    SWAT部隊が任務に就いていますね
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    まずは アレン隊長を
    見つけましょう
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    それが最優先です
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    いいですか
    私たちは自由に動けますよ
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    ヴィッキーが操作して
    くれていますからね
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    ああ こちらがアレン隊長のようです
    電話中ですね
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    (コナー)アレン隊長 私はコナーです
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    サイバーライフ社から送られた
    アンドロイドです
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    (アレン)動くものすべてを撃て
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    仲間が2人もやられたんだ
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    ヤツを捕まえるのは簡単だが
    ベランダの端にいる
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    もし ヤツが落ちたら
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    人質も落ちる
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    (ケージ)さあ ここで
    隊長に何を尋ねるか決めましょう
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    何を選択しますか?
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    変異体の名前? 変異体の行動?
    精神的ショック?
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    (コナー)ヤツは 最近何か
    精神的ショックを受けたのでしょうか?
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    (アレン)知らない 関係あるか?
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    (コナー)最適なアプローチを探るため
    情報が必要なんです
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    (ケージ)では2度目の選択です
    何か情報が得られるかもしれません
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    何を選びますか?
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    (聴衆)行動
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    (ケージ)では 変異体の行動を
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    (コナー)以前にも ヤツは
    おかしな行動を取っていたんでしょうか?
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    (アレン)なあ 大事なのは
    子どもを助けることだ
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    (ケージ)どうも彼からは
    情報を得られそうにありません
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    何かしなければいけません
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    ロビーに戻ってみましょう
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    おや 右側に部屋があるようですよ
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    ここで 何か情報が
    得られるかもしれません
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    タブレットがありますね
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    見てみましょう
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    (女の子)これはダニエル
    世界で一番カッコいいアンドロイドなの
  • 5:45 - 5:47
    ダニエル ご挨拶して
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    (ダニエル)こんにちは
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    (女の子)親友よ ずっと一緒だからね
    [変異体の名 ダニエル]
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    (ケージ)これはプレー方法の1例に過ぎず
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    もっと多くの やり方があります
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    どんな選択をするかによって
  • 5:57 - 6:00
    さまざまな行動や結果
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    さまざまな結末を
    見ることができます
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    インタラクティブ作家としての私の作品が
    どんなものかお分かりいただけたでしょう
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    一方向作品の作家は
    時間と空間を考えれば良いですが
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    インタラクティブ作家は
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    時間 空間 そして可能性を
    扱う必要があります
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    巨大なツリー構造を
    操らねばなりません
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    ツリー構造の枝の1本1本が
    物語の新たな筋書きなのです
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    そのシーンで起こりうる
    すべての可能性を考えて
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    起こりうる すべてを
    想像しようとします
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    無数の変数や条件 可能性を
    考えねばならないのです
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    その結果として
    映画の脚本なら百ページくらいのところ
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    このようなインタラクティブ作品では
    4、5千ページにもなります
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    私の作品がどんなものか
    ご覧いただけたと思いますが
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    つまり ここでは唯一無二の経験が
    できるということなんです
  • 7:01 - 7:05
    というのも
    これはコラボレーションの結果だからです
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    作家が 筋書きの大枠を作り上げ
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    プレーヤーが自分なりの決断を下し
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    自らの物語を作って
    物語の共同作家 かつ
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    共同役者 共同ディレクターと
    なるからです
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    インタラクティブな物語は
    物語の語り方における変革です
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    インタラクティブ・テレビや
    仮想現実、ビデオゲームといった―
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    新たなプラットフォームの誕生と共に
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    これは エンターテイメントの新たな形
    さらには
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    アートの新たな形とさえ
    なりうるのです
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    私は確信しています
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    近い将来 次世代の才能によって
    もっと感動的で意義深い
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    インタラクティブな経験が
    できるようになるでしょう
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    そのような媒体が待っているのは
    オーソン・ウェルズや
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    スタンリー・キューブリック
    のような存在で
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    間違いなく
    そうした才覚はすぐに現れ
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    活躍することになるでしょう
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    インタラクティブな物語は
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    20世紀における映画のように
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    時代を大きく変えるアートになりうると
    信じています
  • 8:17 - 8:18
    ありがとうございました
  • 8:18 - 8:21
    (拍手)
Title:
プレーヤーが物語を紡ぐビデオゲーム
Speaker:
デイビッド・ケージ
Description:

映画を見たり小説を読んだりしていて、お気に入りの登場人物を救うために筋書きを変えられたらと思ったことはありませんか? ゲーム・デザイナーのデイビッド・ケージはまさにそれを叶えてくれます。彼の手がけたゲームでは、プレーヤーがさまざまな決断を下していくことで千変万化の筋書きが生まれます。この講演とライブデモでは、ケージが自らが取り組んでいる新しい作品の1シーンを上演し、会場の参加者に登場人物になり代わって決断をさせてくれます。「インタラクティブな物語は、20世紀における映画のように、時代を一変させるアートになりうる」とケージは語ります。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
10:09

Japanese subtitles

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