ダン・アリエリー
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0:01 - 0:03今日のテーマは
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0:03 - 0:06「予想通りの不合理さ」です
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0:06 - 0:10私が「不合理な行動」に興味を持ったのは
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0:10 - 0:13ずいぶん前に病院でのこと
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0:13 - 0:17私は酷い火傷を負ったことがあります
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0:17 - 0:20病院で何年か過ごす間に
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0:20 - 0:23色々な不合理さが目につき
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0:23 - 0:28特に 火傷病棟で私の頭を悩ませたのは
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0:28 - 0:32看護師たちの包帯の剥がし方です
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0:33 - 0:35さて 今皆さんはバンドエイドを
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0:35 - 0:38剥がそうとしています
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0:38 - 0:42さっさと剥がして 短いが激しい痛みに耐えるか
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0:42 - 0:44ゆっくり剥がして
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0:44 - 0:48長めの穏やかな痛みに耐えるか
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0:48 - 0:51どちらがよいでしょう?
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0:51 - 0:55私の病棟の看護師たちの持論は
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0:55 - 0:58さっさと剥がす方で かまえては引き剥がし
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0:58 - 1:00かまえては一気に引き剥がしたのです
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1:00 - 1:04私の火傷は全身の70%に及びましたから
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1:04 - 1:07一時間はかかり 引き剥がす間の
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1:07 - 1:11あの恐ろしい痛みが嫌でしたね
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1:11 - 1:13だから ある時頼んでみました
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1:13 - 1:14「もう少し
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1:14 - 1:16ゆっくりと剥がしてよ
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1:16 - 1:212時間ぐらいはかけて 痛みを和らげられないの」と
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1:21 - 1:23看護師が言うには
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1:23 - 1:27自分たちは患者の扱い方を知っているし
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1:27 - 1:30痛みを抑える方法もわかっている
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1:30 - 1:33それに「患者」という言葉に
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1:33 - 1:35「助言」や「邪魔」をする意味はないと
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1:35 - 1:38私が知る限りでは
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1:38 - 1:41このことは万国共通のようです
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1:41 - 1:45とにかく 私にはどうにもできないまま
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1:45 - 1:48看護師は同じように続けました
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1:48 - 1:50それから3年後には退院して
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1:50 - 1:53大学で勉強を始めました
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1:53 - 1:56そこで面白いことを学びました
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1:56 - 1:58自分が疑問に思うことを
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1:58 - 2:02抽象的な質問の形に作り変え
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2:02 - 2:06その質問の答を探ることで この世界について
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2:06 - 2:08少しヒントが得られることを知ったのです
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2:08 - 2:10だから試してみました
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2:10 - 2:11私はその時もまだ
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2:11 - 2:13火傷患者の包帯の剥がし方が気になっていました
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2:13 - 2:16初めは あまりお金がなく
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2:16 - 2:20万力を買ってきて
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2:20 - 2:24研究室に人を集めて 指を間に挟ませ
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2:24 - 2:26少しだけ締めてみました
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2:26 - 2:28(笑)
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2:28 - 2:31長めに締め付けたり 短めだったり
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2:31 - 2:33痛みを強めては弱め
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2:33 - 2:37しばらく続けたあとには少し間をあけて
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2:37 - 2:39痛みを与えるたびに
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2:39 - 2:41どう痛かったか?
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2:41 - 2:43選ぶとすれば
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2:43 - 2:45どちらの痛みを選ぶか?と聞きました
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2:45 - 2:48(笑)
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2:48 - 2:51しばらく続けましたよ
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2:51 - 2:53(笑)
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2:53 - 2:57研究費をもらえるようになってからは
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2:57 - 2:59他の痛みも試してみました
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2:59 - 3:04不快な音 電気ショック 拷問スーツまで
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3:04 - 3:08そしてこれらの実験から 看護師たちが
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3:08 - 3:11間違っていたことがわかりました
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3:11 - 3:14看護師たちは あれだけの善意と
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3:14 - 3:16経験を持ち合わせても
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3:16 - 3:20予想通り間違うことを証明したのです
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3:20 - 3:23私たちは 持続時間と痛みの強さを
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3:23 - 3:25同じ計りで計っていないようです
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3:25 - 3:29もしゆっくりと包帯を剥がしていたら
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3:29 - 3:31ずっと痛みは軽減されていたでしょう
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3:31 - 3:34より痛みの強い顔の方から脚の方へ
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3:34 - 3:36包帯を剥がしていたら
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3:36 - 3:39苦痛は軽い方へ向かうのですから
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3:39 - 3:40恐らく痛みも和らいでいたでしょう
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3:40 - 3:42また 途中で少し
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3:42 - 3:44休憩を入れてもよかったようです
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3:44 - 3:46改善の余地はありました
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3:46 - 3:49しかし 看護師は知らなかったのです
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3:49 - 3:50そこで私が考えたのは
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3:50 - 3:53これは看護師に限ったことなのか
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3:53 - 3:56もっと一般的に当てはまるのか ということです
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3:56 - 3:58答えは後者です
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3:58 - 4:01私たちは多くの間違いを犯します
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4:01 - 4:06この不合理の具体例の一つが
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4:06 - 4:09不正行為です
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4:09 - 4:11ここで紹介する興味深い実験は
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4:11 - 4:13昨今の混沌とした証券市場にも
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4:13 - 4:16応用できます
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4:16 - 4:19私がはじめに不正に興味を持ったのは
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4:19 - 4:212001年のエンロン事件です
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4:21 - 4:24一体何が起こっていたのでしょう
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4:24 - 4:25これは
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4:25 - 4:28少数の悪い人間の行いなのか
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4:28 - 4:30それとも人間に特有の
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4:30 - 4:34誰もが犯しうる過ちだったのでしょうか
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4:34 - 4:38そこで いつも通り 単純な実験を
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4:38 - 4:39行ってみました
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4:39 - 4:42皆さんに 紙を一枚配るとします
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4:42 - 4:46簡単な誰もが解ける数学の問題20問です
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4:46 - 4:48しかし 十分な時間がありません
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4:48 - 4:50制限時間は5分で
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4:50 - 4:53答案を回収します 一問正解につき一ドル払います
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4:53 - 4:57平均正解数は4問
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4:57 - 4:59平均4ドル渡しました
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4:59 - 5:02次に 別の人たちにはわざと不正を働くよう仕掛けをします
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5:02 - 5:03今度も
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5:03 - 5:05紙を配り 5分後にこう言います
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5:05 - 5:06「紙を破き
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5:06 - 5:09ポケットか鞄にしまってください
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5:09 - 5:12そして 何問正解したかを教えてください」
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5:12 - 5:15正解は平均7問に増えました
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5:15 - 5:20これは 少数の悪人が
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5:20 - 5:23たくさんズルをしたのではなく
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5:23 - 5:26実は 多くの人が少しズルをしたのです
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5:26 - 5:29さて 経済学の理論では
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5:29 - 5:32不正は単純な費用便益分析の一例です
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5:32 - 5:34捕まる確率は?
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5:34 - 5:37不正から得られる価値はいくらか?
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5:37 - 5:39捕まったらどんな罰を受けるのか?
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5:39 - 5:41これらを計りにかけます
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5:41 - 5:43これが単純な費用便益分析です
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5:43 - 5:46そして 罪を犯す価値があるかどうかを決めます
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5:46 - 5:48そこで 次の実験では
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5:48 - 5:52持ち逃げさせる金額を変えてみました
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5:52 - 5:53いくらなら盗むか
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5:53 - 5:56一問あたり 10セント 50セント
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5:56 - 5:591ドル 5ドル 10ドルと変えてみました
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5:59 - 6:03皆さんは 金額が大きいほど不正が増える
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6:03 - 6:06と思うでしょうが 実際は違いました
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6:06 - 6:09多くの人がわずかだけ盗んだのです
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6:09 - 6:12また 捕まる可能性は?
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6:12 - 6:14ある人は紙を半分だけ破き
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6:14 - 6:15証拠を残し
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6:15 - 6:17ある人は丸々一枚破き
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6:17 - 6:20ある人は粉々にして 部屋を出てゆき
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6:20 - 6:23100ドルは入っているボウルからお金をとりました
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6:23 - 6:26ここでは 捕まる可能性が低い方が
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6:26 - 6:29不正が増えるようですが 同じく 違いました
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6:29 - 6:32やはり 多くの人が少しだけ不正をしました
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6:32 - 6:35つまり 経済的なインセンティブに反応しなかったのです
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6:35 - 6:36このように
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6:36 - 6:41人々が経済の合理性に見合わない行動をとる
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6:41 - 6:44そこで何が起きているのか考えてみました
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6:44 - 6:47私が考えるに そこには2つの力が働いています
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6:47 - 6:49一つは 自分の姿を鏡に映し出し
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6:49 - 6:52自尊心から 不正を抑えようとする力
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6:52 - 6:54もう一つは 少しだけなら不正をしても
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6:54 - 6:56自尊心はまだ保てるという力です
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6:56 - 6:57つまり
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6:57 - 6:59超えてはいけない一線を守りながら
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6:59 - 7:03自分の評価を傷つけない程度に
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7:03 - 7:06些細な不正から何かを得ようとするのです
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7:06 - 7:09これを「私的補正因子」と言います
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7:10 - 7:14この「私的補正因子」はどのようにテストできるでしょう?
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7:14 - 7:18また「私的補正因子」を減らすにはどうしたらよいでしょうか?
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7:18 - 7:20そこで人々を研究室に集め
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7:20 - 7:22二つの課題を与えました
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7:22 - 7:23まず 半分の人に
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7:23 - 7:25高校時代に読んだ本を10冊
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7:25 - 7:28他の人には「十戒」を思い出してもらうように指示します
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7:28 - 7:30ここでもまた わざとズルをする細工をしました
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7:30 - 7:33結果は 「十戒」を指示された人は
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7:33 - 7:35誰も10個全ては思い出せませんでした
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7:36 - 7:40でも わざとズルができるようにしたにも関わらず
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7:40 - 7:43誰も不正を働かなかったのです
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7:43 - 7:45これは 特に熱心な信者が
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7:45 - 7:46ズルをしなかった訳でもなく
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7:46 - 7:48「十戒」と無縁な人が
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7:48 - 7:49よりズルをした
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7:49 - 7:51訳でもありません
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7:51 - 7:55「十戒」を思い出そうとした瞬間すでに
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7:55 - 7:56不正はなくなったのです
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7:56 - 7:58自称 無宗教者ですら
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7:58 - 8:02聖書に手を置き 誓いをたてると
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8:02 - 8:04不正を働く気はなくなったのです
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8:06 - 8:08さて「十戒」は宗教的で
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8:08 - 8:10教育現場には不向きですから
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8:10 - 8:12倫理規定を使って実験を続けることにしました
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8:12 - 8:14倫理規定に
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8:14 - 8:18「私はここに この調査がMIT倫理規定の適用を受けることを理解しました」と
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8:18 - 8:21署名させ それを破かせました
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8:21 - 8:22この場合も不正はなくなりました
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8:22 - 8:24しかし 面白いことにMITには倫理規定などはありません
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8:24 - 8:29(笑)
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8:29 - 8:33これは全て「私的補正因子」を減らすために起こったのです
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8:33 - 8:36それでは「私的補正因子」はどのような時に増えるのでしょう
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8:36 - 8:38はじめに 私はキャンパスを歩き回り
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8:38 - 8:416缶入りのコーラを様々な場所の冷蔵庫に置きました
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8:41 - 8:43学部生用の共有冷蔵庫です
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8:43 - 8:46私たちは「半生分のコーラ」と呼んでますが
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8:46 - 8:50どれぐらい保つか調べてみたのです
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8:50 - 8:53おわかりの通り それほど長くはありません
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8:53 - 8:57しかし 代わりに6ドルをのせたお皿を
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8:57 - 9:00同じように冷蔵庫にいれても
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9:00 - 9:01一枚も無くならなかったのです
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9:01 - 9:04され これではよい社会学実験と言えません
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9:04 - 9:07そこで私が先ほど説明した実験を
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9:07 - 9:09再度行ってみました
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9:09 - 9:12今度は3分の1の人は 紙を私達に戻します
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9:12 - 9:15また別の3分の1は 紙を破き
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9:15 - 9:16私達の所へ来て
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9:16 - 9:19「試験官 私はX問正解しましたから Xドルください」と言います
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9:19 - 9:22他の3分の1の人は 紙を破き
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9:22 - 9:24私達の所へ来て
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9:24 - 9:30「試験官 私はX問正解しましたから X枚引換券をください」と言います
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9:30 - 9:33つまり お金で支払うのではなく 別の物で支払いました
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9:33 - 9:36その別の物をもらい 12フィートほど歩いて行って
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9:36 - 9:38換金します
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9:38 - 9:40直感的に考えてみてください
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9:40 - 9:43職場から鉛筆を一本盗む時と
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9:43 - 9:45ちょっと10セントほど小銭を盗むのでは
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9:45 - 9:47どちらが罪悪感をより強く感じますか?
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9:47 - 9:50この二つには大きな違いがあります
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9:50 - 9:53現金ではなく引換券であったならば
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9:53 - 9:56どう違うというのでしょうか?
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9:56 - 9:58実際 不正は2倍に増えたのです
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9:58 - 10:00ここで私が考えたのは
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10:00 - 10:02この実験と証券市場の関連です
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10:03 - 10:07もちろん 社会的な要素の強いエンロン事件のような
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10:07 - 10:10大きな事件の解決にはなりません
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10:10 - 10:11要するに 人は他人の振りをみているわけです
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10:11 - 10:13事実 毎日ニュースをチェックし
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10:13 - 10:15人々の不正を目撃します
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10:15 - 10:18そこからどんな影響を受けるのでしょうか?
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10:18 - 10:19そこで別の実験をしてみました
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10:19 - 10:22大勢の学生を集めて実験協力謝金を
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10:22 - 10:23先に渡しました
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10:23 - 10:26全員 お金が入った封筒を手にします
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10:26 - 10:28そして最後に 正解できなかった問題の数だけ
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10:28 - 10:32お金を返すように言いました
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10:32 - 10:33結果はさほど変わりません
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10:33 - 10:35不正を働く機会があると 人々はそうします
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10:35 - 10:38しかも 多くの人が少しだけズルをするのです
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10:38 - 10:41ただ 今回の実験では偽物の学生を一人混ぜ
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10:41 - 10:4530秒後に立ち上がらせ こう言わせます
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10:45 - 10:48「全部正解したら どうしたらよいですか?」
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10:48 - 10:52そして試験官は全て終わったなら そのまま帰るように言います
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10:52 - 10:53これだけです
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10:53 - 10:57さてこの偽物学生は
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10:57 - 10:59グループの中に溶け込み
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10:59 - 11:01誰も 演技をしていることは知りません
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11:01 - 11:05そして もちろん皆真面目に不正を行うのです
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11:05 - 11:08すると グループの他の人はどうするでしょう?
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11:08 - 11:11もっとズルをするか しないか?
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11:11 - 11:13結果はこうです
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11:13 - 11:17実は 結果は着ているパーカーによって違いました
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11:17 - 11:19つまり
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11:19 - 11:22この実験をピッツバーグで行いましたが
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11:22 - 11:24そこには二つの大学があります
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11:24 - 11:27カーネギーメロン大学とピッツバーグ大学です
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11:27 - 11:29実験の参加者はみな
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11:29 - 11:31カーネギーメロン大学の学生です
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11:31 - 11:35演技をしている学生がカーネギーメロンの学生の時
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11:35 - 11:37実際 彼はそうでしたが
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11:37 - 11:41彼はグループの一員であり 不正は増加しました
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11:41 - 11:45しかし ピッツバーグ大学のパーカーを着てみたら
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11:45 - 11:47不正は減ったのです
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11:47 - 11:50(笑)
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11:50 - 11:53これは大切なことです 考えてみて下さい
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11:53 - 11:55学生が立ち上がった瞬間
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11:55 - 11:58全員がズルをして帰っても良いという認識をもちました
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11:58 - 12:00試験官が「全問終わったら
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12:00 - 12:02帰ってよい」というので 皆帰ったのです
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12:02 - 12:05つまり ここでもまた単に捕まる可能性が問題なのではありません
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12:05 - 12:08これは不正してもよいかの判断の基準が問題なのです
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12:08 - 12:11同じグループの人がズルをし それを見たならば
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12:11 - 12:15同じメンバーとして ズルをしてもよいという気になります
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12:15 - 12:17しかし その人が違うグループならば 最悪な人たち
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12:17 - 12:19いや この実験には最悪な人など本当はいませんよ
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12:19 - 12:21つまり 出来れば関係を保ちたくない人
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12:21 - 12:23別の大学の学生であるとかだと
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12:23 - 12:26急に 人々は正直になるわけです
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12:26 - 12:28これは「十戒」の実験に似ていますが
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12:28 - 12:32ズルをする人は減ったのです
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12:32 - 12:36さて ここから何が学べるでしょう?
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12:36 - 12:39まず 多くの人が不正をすることはわかりました
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12:39 - 12:42しかも ほんの少しだけズルをします
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12:42 - 12:46ところが モラルに少しでも触れたとたん 不正は減ります
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12:46 - 12:49不正と少し距離が離れると
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12:49 - 12:53例えばお金以外のものだと ズルは増えます
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12:53 - 12:55そして周りの人がズルをしているのを見ると
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12:55 - 12:59特に同じ仲間だと ズルは増えるのです
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12:59 - 13:02これを 証券市場に当てはめてみると
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13:02 - 13:03どうでしょうか
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13:03 - 13:06多額のお金を他の何かで支払うと
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13:06 - 13:08つまり現実を少し曲げて
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13:08 - 13:11見るとどうなるでしょう
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13:11 - 13:14この実験があてはまることが
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13:14 - 13:15おわかりでしょう?
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13:15 - 13:16少し現金から離れたとたん
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13:16 - 13:18何がおこるのでしょう?
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13:18 - 13:21株券だとか オプションだとか デリバティブとか
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13:21 - 13:22土地担保証券だとかありますよね
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13:22 - 13:25こうして非現金のものを使うと
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13:25 - 13:27引換券ではないにしても
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13:27 - 13:29現金からは何段階も離れているわけで
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13:29 - 13:33長い目でみれば 人はよりズルをする傾向にあるのではないでしょうか?
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13:33 - 13:35さらに このような他人の行動を見ることは
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13:35 - 13:38社会環境にどう影響を及ぼすのでしょう?
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13:38 - 13:42私はこれらの要因は全て証券市場では
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13:42 - 13:44悪い方へ向かうと考えます
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13:44 - 13:47一般的には 行動経済学では
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13:47 - 13:50次のようなことが言えます
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13:50 - 13:54私達は直観にかなり頼っていて
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13:54 - 13:57多くの場合その直観は間違っています
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13:57 - 14:00問題は そのような直観を省みるかどうかにあります
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14:00 - 14:02自分たちが毎日の生活 ビジネス
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14:02 - 14:04特に政策決定の場で
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14:04 - 14:07直観をどう使っているか考えてみるのです
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14:07 - 14:10例えば 教育制度だとか
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14:10 - 14:13新しい証券市場を作る時や
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14:13 - 14:16税制や社会福祉など 新しい政策を作る時です
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14:16 - 14:18そして この直観を確かめる難しさは
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14:18 - 14:20私自身がよく知っています
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14:20 - 14:22病院に戻って看護師たちと話した時
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14:22 - 14:24こんなことがありました
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14:24 - 14:27包帯の剥がし方についてわかったことを教えると
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14:27 - 14:29二つの面白い答えが返ってきました
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14:29 - 14:31私が好きだった看護師のエティは まず
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14:31 - 14:35看護師の気持ちを考えてないと言いました
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14:35 - 14:37エティは「もちろんあなたの痛みは当然だけど
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14:37 - 14:39看護師のことも考えてみて
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14:39 - 14:41大好きな人の包帯を取る辛さを
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14:41 - 14:44しかも何度 何度も繰り返し
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14:44 - 14:47苦しめ続けるのは 私にとっても楽なことではなかった」と
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14:47 - 14:52ところが それほど彼女を苦しめた理由は
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14:52 - 14:55もっと興味深い別の点にあって
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14:55 - 15:00「私は他人の直観が正しいと思ったことなどなく
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15:00 - 15:01自分の直観が正しいと思った」と続けました
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15:01 - 15:03もし自分の身に置き換えてみれば
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15:03 - 15:07自分の直観が間違っていると思うのは相当に難しいことです
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15:07 - 15:10そして 彼女が言うには 私が自分の直観を正しいと思ったように
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15:10 - 15:12彼女も自分の直観を正しいと思い
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15:12 - 15:17別の視点をもつのはほぼ不可能なことだったのです
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15:17 - 15:19自分が間違っているかどうか考えもしなかった
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15:19 - 15:23しかし 実際には これはよくあることです
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15:23 - 15:26私達はあらゆることを強い直感を持って判断しています
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15:26 - 15:29自分の能力や これから経済がどう動くか
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15:29 - 15:31教師にいくら給料を払うか
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15:31 - 15:34しかし この直観は確かめてみない限り
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15:34 - 15:36改善の余地はないのです
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15:36 - 15:38もしあの看護師が自分たちの直観に疑いをもつことがあれば
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15:38 - 15:40私の病院生活はどれほど楽になっていたか
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15:40 - 15:41自分の直感をより体系的に
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15:41 - 15:46調べることができれば 物事はもう少し上手く運んでいたのではないでしょうか
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15:46 - 15:48どうもありがとうございました
- Title:
- ダン・アリエリー
- Speaker:
- Dan Ariely
- Description:
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ダン・アリエリーは私たちのモラルに潜む落とし穴に注目する行動経済学者です。何故、ずるいことをしたり、(時として)盗みを働いても平気だという考え方が生まれてくるのか、その隠された真実を探ります。ユニークで愉快な実験を通して、彼は人が「予想通りに不合理」で無意識のうちに自分たちの判断を左右されているのだと指摘します。
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 16:03